マンションお役立ち情報

大規模修繕工事とは

2023年12月25日 / カテゴリ:マンションの老朽化, 用語集

マンションを適切に維持管理していく上で重要な「大規模修繕工事」

理事会役員や修繕検討委員にならないと

どのような工事をおこなっているかなかなか分かりづらいと思います。

※修繕検討委員とは、大規模修繕に関する計画や決定事項などを

 専門に行う委員会のメンバーのことです。

 

国土交通省のガイドラインでは、大規模修繕工事は

「マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するために行う修繕工事や

必要に応じて建物及び設備の性能向上を図るために行う改修工事のうち

工事内容が大規模、工事費が高額、工事期間が長期間にわたるもの等をいう。」

と書かれており、大体12年~15年に一度行うのが望ましいとされています。

具体的には、屋上やバルコニーの防水工事

外壁の下地補修・タイルの貼り替え・塗装、鉄部の塗装

シーリングの打ち替え等行い

場合によっては給水管や排水管の更新を行う場合もあります。

但し、工事内容はあくまでも管理組合が決めることであるため

必ずしもこの内容で行うとは限りません。

例えば屋上防水工事は足場を必要としないため

防水の状態が良好であれば、実施時期を延期することもあります。

 

24343935_m

 

大規模修繕工事を行うにあたり

理事会役員や修繕検討委員は次のようなことを行っています。

①建物の劣化状況を調べる

②劣化状況を基に、工事の内容を決める

③決めた工事内容で、(複数の)業者から見積りをとる

④見積りを基にどの業者に依頼するか決める

⑤工事内容、業者を決めたら総会に上程する

 ※上程とは、議案などを会議にかけることです

⑥総会にて可決承認後、業者と契約し、具体的な工事の日取りを決める

⑦工事中、追加で必要な工事が発生した場合、都度検討する

⑧工事が概ね終了したら、検査を行う

⑨検査終了後、業者から提出される工事完了報告書を確認し、工事終了

 

工事費用は戸あたり100万円が目安とされていましたが

築年数によりやらなければいけない工事が大きく変わってくるので

一概にはいえません。

また、最近は物価高騰のあおりを受け、工事金額が跳ね上がっているため

予想より見積が高額になることが多いです。

資金不足により工事が延期とならないように

管理組合は普段から修繕積立金を計画的に貯めていくことが重要です。

玄関扉の交換で快適な住まいを

2023年9月22日 / カテゴリ:マンションの老朽化, 長期修繕計画

マンションの玄関扉や窓といった開口部は外側が共用部分に当たることから

築年数の経ったマンションで全戸一斉に玄関扉や窓の交換を行うことがあります。

(国土交通省が作成している「標準管理規約」では開口部の交換を含めたリフォームを

個人で実施することを認める条文があることからマンションによっては個人で交換可能な

場合もあります)

 

玄関扉は劣化が進行すると、扉自体や枠に錆が発生したり扉に歪みが生じてきて

正常な開閉が出来なくなってしまったり、見栄えが悪くなってしまったりしてきます。

また、築古のマンションですと、鍵も旧型のデザインだったり

鍵穴が1つだけだったりして、防犯性も心もとないです。

その為、玄関扉の交換が必要となってきます。

 

国土交通省作成の長期修繕計画作成ガイドラインでは

玄関扉の交換目安を築34年~38年に設定していますが

玄関扉の設置されている位置や環境により劣化の進行はまちまちですので

ガイドラインはあくまでも目安としてとらえ

ご自身のマンションの劣化具合を実際みて交換をご検討いただくのが宜しいかと思います。

1487469_m

 

弊社で管理しているマンションでも、先日玄関扉の一斉交換を行ったところがありました。

築25年程のマンションですが、枠や扉の錆が目立ってきて

修繕を要望する声が多くなってきたことから

理事会で検討し、玄関扉の全戸一斉交換が総会で可決承認されました。

工事にも立ち合いましたが、玄関扉の交換を行うとマンションの見栄えがかなり良くなります。

また、それだけではなく、断熱性・防犯性・遮音性の向上や、

レバーハンドルからプッシュプルハンドルへ変更したことにより利便性も向上しました。

 

現在、玄関扉の交換はカバー工法(既存の枠を新しい枠で覆って扉を交換する工法)が

主流となっており、

今回交換したマンションもカバー工法で交換しました。

工期の短縮や費用面でメリットが大きいためですがデメリットとしては

枠を覆った分だけ開口部が僅かに小さくなることがあげられます。

 

玄関扉の交換の最大のハードルは費用面だと思います。

マンションの規模により大きく変わってきますが

戸あたり30万円程度が相場のようです。

全戸一斉交換できる費用の確保が難しいようでしたら

上記に記載したように、管理規約の改定により

開口部の交換を含めたリフォームを管理組合で認めることも必要になってくると思います。

マンションの実情に応じて管理組合で検討してみてはいかがでしょうか。

水道管の凍結予防

2023年1月26日 / カテゴリ:トラブル, マンションの老朽化

寒さが厳しい季節になると多いトラブルが水道管の凍結です。

弊社で管理させていただいている埼玉のマンションでも

早朝に凍結が発生することがありますが

そのままの状態で放置してしまうと、まれに水道管が破裂してしまうことがあります。

破裂してしまうと水道業者さんに修理を依頼しなければなりませんので

そうならないために予め凍結を防ぐ対策が重要となってきます。

 

画像1

 

凍結の予防

水道管や蛇口に、布などを巻き付けて熱が逃げないようにします。

メーターボックスの中も凍りやすいので、布を詰めたりして忘れずに保温してください。

 

凍結してしまったら

布などを巻き付けた部分にぬるま湯をゆっくりとかけてください。

この時熱湯を使用するのは厳禁です。水道管が破裂する恐れがあります。

 

水道管が破裂してしまったら

破裂箇所から水が噴き出してしまいますので、まずは水道管の元栓を閉めてください。

元栓は一般的に水道メーターの隣にあります。

トイレも含め、室内の水が一切使えなくなりますのでご注意ください。

その後、水道業者さんや水道局に修理を依頼してください。

 

水道管が破裂するような気温の場合、

近隣の地域で同様に破裂トラブルが多発している可能性があり、

水道業者さんが手いっぱいで修理が遅れてしまうことがあります。

そうならないよう水道管を凍結させない予防が重要です。

マンションですと共用の散水栓以外の水道管はパイプスペース内で保温ラッキングされていることがほとんどですが

経年劣化でラッキングが破れて水道管が一部露出していると

凍結の原因となりますのでご注意ください。

受水槽方式から直結給水方式への切り替え

2022年12月28日 / カテゴリ:マンションの老朽化, マンション自主管理, 長期修繕計画

マンションの築年数が20年を経過すると、様々な設備の交換が必要となります。

給水設備である受水槽もその一つです。一般的な受水槽の耐用年数は20年~30年程度、

受水槽から各戸へ水を送る為の加圧ポンプは10年程度と言われています。

更には年1回の受水槽清掃や、水質検査にも費用が発生する為、受水槽の維持に掛かる費用は

管理組合にとって大きな負担となります。

受水槽

 

受水槽方式には以下の2通りがあります。

受水槽加圧ポンプ給水方式

・受水槽に貯めた水を加圧ポンプで各戸に送る

・受水槽、加圧ポンプの故障時に交換が必要

・受水槽は年1回の清掃と検査が必要

・断水の際は受水槽に貯まっている水を各戸に供給できる

・停電の際はポンプが停止すると使用できない

 

受水槽揚水ポンプ高架水槽給水方式

・受水槽に貯めた水を揚水ポンプで屋上の高架水槽まで上げて、落ちてくる水の勢い

 利用して各戸に給水する方式で、高層マンションや、経年マンションに多い。

・受水槽、揚水ポンプ、高架水槽の故障時に交換が必要。

・受水槽、高架水槽は年1回の清掃と検査が必要。

・受水槽と高架水槽を経由する為、衛生面に注意が必要。

・断水の際は受水槽、高架水槽に貯まっている水を各戸に供給できる。

・停電の際にも高架水槽に貯まっている水を使用できる。

高架水槽

 

給水設備にかかる支出をできるだけ抑える為の方法として、受水槽に水を貯めずに

本管から引き込んだ水を各戸に給水する『直結給水方式』があります。

 

この方式に変えれば、受水槽に掛かるメンテナンス費用や交換費用は今後発生しませんし、

受水槽を介さないので水質も衛生的です。更に3階程度の低層マンションで、本管からの

水圧のみで各戸に水を送ることができる場合は、ポンプの設置も不要となり、

ポンプに掛かる費用も削減できます。

 

直結給水方式には以下の2通りがあります。

直結直圧給水方式

・水道本管から引込管を通り各戸に水が供給される。本管からの水圧のみ水を送る為、

 主に低層マンションが対象となる。

・設備が一切無いので、維持費用が不要。

・本管の水が直接供給される為衛生的。

・断水時は水を使用できない。

・停電時でも使用できる。

 

直結増圧給水方式

・水道本管からの水を増圧給水ポンプで各戸に供給する。

・増圧給水ポンプの故障時に交換が必要。

・各自治体の条例により、年1回以上の増圧給水ポンプの点検が必要。

・本管の水が直接供給される為衛生的。

・断水時は水を使用できない。

・停電時は本管からの水圧で送水可能な低層階のみ使用できる。

publicdomainq-0048951ttxdjv

 

受水槽方式と直結給水方式の特徴を比べると、直結給水方式の一番のメリットとして、

維持費用が安価であることです。デメリットとしては、水を貯める装置が無いので

断水時水が使用できませんが、これは各家庭や管理組合で飲料水を備蓄すれば良いと思います。

 

注意したいのは直結給水方式を導入できない場合があることです。

その地域の本管の水圧が足りない、マンションの世帯数が多すぎる、引込管が細すぎる等。

条件が揃うと5階建てのマンションでも直結直圧給水方式が可能な場合があります。

検討の前に、まずは導入できるかどうか管轄の水道局や水道工事業者にご相談ください。

漏水に対する保険の備えを!

2022年9月28日 / カテゴリ:トラブル, マンションの老朽化, マンション総合保険, マンション自主管理

 

 

30年以上の高築年数のマンションにお住いの皆様、専有部分(自室)に関わる火災保険

(個人加入)に必要な補償で、外せない補償が二つあります。

 

 

22846940_s

 

 

高築年数のマンションで、多発するのは「水漏れ」事故です。

 

集合住宅ではいつ起きてもおかしくない事故であり、上階の方が洗濯機のホースを

外してしまった、湯船に水を入れ続けてしまった等のヒューマンエラーに起因する

場合もありますが、専有部分の劣化した配管から水が漏れてしまった等の、

設備の経年劣化による漏水は、建物の高齢化と共に発生が増えてきます。

 

4332637_s

 

必要になる特約補償は二つです。

 

1. 水濡れ損害補償(被害を受けることを想定して契約しておく保険)上階から

  漏れてきた水による被害を、下階の方ご自身の保険で補償してもらいます。

 

2. 個人賠償責任補償(加害者となることを想定して契約しておく保険)上階で

  漏水の原因を生じさせた方は、下階の方の被害に対する賠償責任が生じます。

  その時上階の方が「個人賠償責任保険」を契約していれば、保険で被害が

  補償されます。

 

ただし被害が全額補償されるとは限りません。

保険で補償範囲がカバーされない場合は、加害者となった方が不足分を

自己負担で補填する場合もあり得ます。

 

 

マンションの配管の区分について

 

マンションの配管には給水管と排水管がありますが、 「共用部分」の配管と、

「専有部分」の配管に分かれます。

共用部分の配管が原因の水漏れ被害は、管理組合が契約するマンション総合保険に、

建物管理賠償責任(施設賠償責任)補償特約が付されていれば、保険で被害が補償されます。

 

 

23244271_s

 

 

給水管の場合、各戸メーターから下流の管が専有部分の扱いになります。

専有部分の給水管に起因する下階への漏水被害は、区分所有者が賠償責任を

負います。

基本的に、床下にある配管は、区分所有者の所有する専有部分の配管です。

ご自身の部屋の床下の配管から水が漏れて下階に損害を与えた場合は、

補償の責任を負うこととなります。

実際のところ、高経年マンションでは、専有部分の劣化した配管からの

漏水事故が、多くを占めていますのでご注意ください。

 

 

1555883_s

 

 

以上漏水事故の発生に備えて、万がーの時に役に立つ保険の効用をご説明しました。

漏水事故は、集合住宅に居住する限り、どなたでも遭遇する恐れがあります。

特に加害者になった場合を想定して、最低限個人賠償責任補償には加入して

おくべきでしょう。

未加入の状態は、自賠責保険に入っていないクルマに乗っているのと

同様である位の認識が妥当だと思います。

 

 

252025_s