マンションお役立ち情報

玄関扉の交換で快適な住まいを

2023年9月22日 / カテゴリ:マンションの老朽化, 長期修繕計画

マンションの玄関扉や窓といった開口部は外側が共用部分に当たることから

築年数の経ったマンションで全戸一斉に玄関扉や窓の交換を行うことがあります。

(国土交通省が作成している「標準管理規約」では開口部の交換を含めたリフォームを

個人で実施することを認める条文があることからマンションによっては個人で交換可能な

場合もあります)

 

玄関扉は劣化が進行すると、扉自体や枠に錆が発生したり扉に歪みが生じてきて

正常な開閉が出来なくなってしまったり、見栄えが悪くなってしまったりしてきます。

また、築古のマンションですと、鍵も旧型のデザインだったり

鍵穴が1つだけだったりして、防犯性も心もとないです。

その為、玄関扉の交換が必要となってきます。

 

国土交通省作成の長期修繕計画作成ガイドラインでは

玄関扉の交換目安を築34年~38年に設定していますが

玄関扉の設置されている位置や環境により劣化の進行はまちまちですので

ガイドラインはあくまでも目安としてとらえ

ご自身のマンションの劣化具合を実際みて交換をご検討いただくのが宜しいかと思います。

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弊社で管理しているマンションでも、先日玄関扉の一斉交換を行ったところがありました。

築25年程のマンションですが、枠や扉の錆が目立ってきて

修繕を要望する声が多くなってきたことから

理事会で検討し、玄関扉の全戸一斉交換が総会で可決承認されました。

工事にも立ち合いましたが、玄関扉の交換を行うとマンションの見栄えがかなり良くなります。

また、それだけではなく、断熱性・防犯性・遮音性の向上や、

レバーハンドルからプッシュプルハンドルへ変更したことにより利便性も向上しました。

 

現在、玄関扉の交換はカバー工法(既存の枠を新しい枠で覆って扉を交換する工法)が

主流となっており、

今回交換したマンションもカバー工法で交換しました。

工期の短縮や費用面でメリットが大きいためですがデメリットとしては

枠を覆った分だけ開口部が僅かに小さくなることがあげられます。

 

玄関扉の交換の最大のハードルは費用面だと思います。

マンションの規模により大きく変わってきますが

戸あたり30万円程度が相場のようです。

全戸一斉交換できる費用の確保が難しいようでしたら

上記に記載したように、管理規約の改定により

開口部の交換を含めたリフォームを管理組合で認めることも必要になってくると思います。

マンションの実情に応じて管理組合で検討してみてはいかがでしょうか。

受水槽方式から直結給水方式への切り替え

2022年12月28日 / カテゴリ:マンションの老朽化, マンション自主管理, 長期修繕計画

マンションの築年数が20年を経過すると、様々な設備の交換が必要となります。

給水設備である受水槽もその一つです。一般的な受水槽の耐用年数は20年~30年程度、

受水槽から各戸へ水を送る為の加圧ポンプは10年程度と言われています。

更には年1回の受水槽清掃や、水質検査にも費用が発生する為、受水槽の維持に掛かる費用は

管理組合にとって大きな負担となります。

受水槽

 

受水槽方式には以下の2通りがあります。

受水槽加圧ポンプ給水方式

・受水槽に貯めた水を加圧ポンプで各戸に送る

・受水槽、加圧ポンプの故障時に交換が必要

・受水槽は年1回の清掃と検査が必要

・断水の際は受水槽に貯まっている水を各戸に供給できる

・停電の際はポンプが停止すると使用できない

 

受水槽揚水ポンプ高架水槽給水方式

・受水槽に貯めた水を揚水ポンプで屋上の高架水槽まで上げて、落ちてくる水の勢い

 利用して各戸に給水する方式で、高層マンションや、経年マンションに多い。

・受水槽、揚水ポンプ、高架水槽の故障時に交換が必要。

・受水槽、高架水槽は年1回の清掃と検査が必要。

・受水槽と高架水槽を経由する為、衛生面に注意が必要。

・断水の際は受水槽、高架水槽に貯まっている水を各戸に供給できる。

・停電の際にも高架水槽に貯まっている水を使用できる。

高架水槽

 

給水設備にかかる支出をできるだけ抑える為の方法として、受水槽に水を貯めずに

本管から引き込んだ水を各戸に給水する『直結給水方式』があります。

 

この方式に変えれば、受水槽に掛かるメンテナンス費用や交換費用は今後発生しませんし、

受水槽を介さないので水質も衛生的です。更に3階程度の低層マンションで、本管からの

水圧のみで各戸に水を送ることができる場合は、ポンプの設置も不要となり、

ポンプに掛かる費用も削減できます。

 

直結給水方式には以下の2通りがあります。

直結直圧給水方式

・水道本管から引込管を通り各戸に水が供給される。本管からの水圧のみ水を送る為、

 主に低層マンションが対象となる。

・設備が一切無いので、維持費用が不要。

・本管の水が直接供給される為衛生的。

・断水時は水を使用できない。

・停電時でも使用できる。

 

直結増圧給水方式

・水道本管からの水を増圧給水ポンプで各戸に供給する。

・増圧給水ポンプの故障時に交換が必要。

・各自治体の条例により、年1回以上の増圧給水ポンプの点検が必要。

・本管の水が直接供給される為衛生的。

・断水時は水を使用できない。

・停電時は本管からの水圧で送水可能な低層階のみ使用できる。

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受水槽方式と直結給水方式の特徴を比べると、直結給水方式の一番のメリットとして、

維持費用が安価であることです。デメリットとしては、水を貯める装置が無いので

断水時水が使用できませんが、これは各家庭や管理組合で飲料水を備蓄すれば良いと思います。

 

注意したいのは直結給水方式を導入できない場合があることです。

その地域の本管の水圧が足りない、マンションの世帯数が多すぎる、引込管が細すぎる等。

条件が揃うと5階建てのマンションでも直結直圧給水方式が可能な場合があります。

検討の前に、まずは導入できるかどうか管轄の水道局や水道工事業者にご相談ください。

「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の一部改正について

2022年3月22日 / カテゴリ:マンションの老朽化, マンション管理, 長期修繕計画

 

 

令和4年4月1日より「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の

 

一部改正が施行されます。

 

この改正は、マンションの適正な維持管理及び維持管理のための

 

資金面(修繕積立金)に焦点を当てた改正となっており、

 

その背景に大まかに以下の課題が存在しています。

 

 

 

1. 区分所有者の高齢化、非居住化により管理組合役員の担い手が不足。

 

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2. マンション管理の専門化・複雑化により合意形成の困難さが増大。

 

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3. 管理状況等に対する情報ニーズの高まりに対し、管理情報が不足。

 

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4. 適切な長期修繕計画が策定されていない、又は修繕積立金の不足等により

必要な修繕がなされない懸念が発生。

 

 

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又、その課題に対応するため国は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の一部改正が施行されます。

 

 

 

改正に伴い改正された法律の概要

 

1. 国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針を策定

2. 地方公共団体による以下の措置を講じる

 

① マンション管理適正化推進計画制度

※基本方針に基づき、管理の適正化の推進を図るための施策に

関する事項等を定める計画を作成(任意)

 

② 管理計画認定制度

※マンション管理適正化推進計画を作成した地方公共団体は適切な

管理計画を有するマンションを認定

 

③ 管理適正化のための指導・助言等

※管理の適正化のために、必要に応じて、管理組合に対して指導・助言等

 

 

 

国の認識として、「老朽化を抑制し、周辺への危害等を防止するための維持管理の適正化や

 

老朽化が進み維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取組の強化が喫緊の課題」が

 

挙げられており、今後は地方公共団体が区域内のマンションの実態の把握を進めるとともに、

 

管理が適正に行われていないマンションへ必要に応じて指導・助言、専門家の派遣等による

 

支援を行う等、能動的に関与していく方向性を示しています。

 

 

 

区分所有マンションにおいては、適切に維持管理されない場合は戸建住宅に比べて、

 

周辺の住環境に与える影響(適切な管理が行われていない空家等が防災や衛生、景観面等)が

 

大きく、2019年7月に「空き家対策特別措置法」に基づく行政代執行により解体された例があります。

 

 

 

 

当社は、総合管理サービスにおいては勿論ですが、機関事務である

 

会計業務サービスにおいても経験や知識に基づく助言や総会への

 

オブザーバーとしての出席(有料)、管理規約の作成・変更(有料)も行っており、

 

それぞれの管理組合様の現状に応じたサービスを提供しております。

 

マンションの管理の適正化の推進に関する法律  マンションの管理の適正化の推進に関する法律  改正  令和2年
マンション管理適正化法 マンション管理適正化法施行規則 マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行令 マンション管理適正化法
マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則 マンション管理適正化法

マンションの長期修繕計画

2019年7月25日 / カテゴリ:マンション自主管理, 長期修繕計画

 

マンションは、専有部分と共用部分の建物等で構成されており、共用部分については、

区分所有者全員で管理組合が管理を行います。

建物等については、経年により劣化していきますので、それに対処するためには適時

適切に修繕工事等を行う必要があり、一般に20年から25年、場合によっては30年程度

で設定し行います。

 

修繕工事等の費用は多額であり、修繕工事等の実施時に一括で徴収することは、区分

所有者に大きな負担を強いることとなり、費用不足のため必要な修繕工事等が行えず、

建物等の劣化を進行させる等、あとで大きな負担が発生する恐れもあります。

長期修繕計画は、そのようなことがないように、将来予想される修繕工事等を計画し、

必要な費用を算出し、月々の修繕積立金を設定するために作成するものです。

 

 

マンションの長期修繕計画の作成又は見直は、

  1. 将来見込まれる修繕工事及び改修工事の内容、おおよその時期、概算の費用等を明確にする。
  2. 計画修繕工事の実施のために積み立てる修繕積立金の額の根拠を明確にする。
  3. 修繕工事及び改修工事に関する長期計画について、あらかじめ合意しておくことで、計画修繕工事の円滑な実施を図る。

 

 

具体的に、将来の一定期間に見込まれる修繕工事及び改修工事

  1. マンションの形状、仕様などに応じた内容
  2. 経済性(順序、集約化など)、立地条件、劣化状況などを考慮したおおよその時期
  3. 必要となる概算の費用

 

などを明確にします。

 

 

また、区分所有者が負担する修繕積立金の額の根拠としても、その使途となる将来の修繕

工事及び改修工事の 内容等を明示することが必要です。

 

 

1号様式

4-1号様式

4-4号様式

概要

 

 

マンションの長期修繕計画は大変重要なものです。

あなたが住んでいるマンションの長期修繕計画について、理事会や所有者全員、管理組合で

検討してみることが必要です。

 

まずは、劣化診断から考えてみては、いかがですか。

 

参考ですが、グループ会社の近藤建設でも、マンションリニューアルを行っています。

https://www.kondo-gr.co.jp/construction/building-land/building/renewal-result.html

 

 

資産価値向上のポイント長期修繕計画

2017年3月15日 / カテゴリ:長期修繕計画

 

資産価値の向上というと、誰もがすぐに流通価格の上昇を思い浮かべます。確かに、大規模修繕工事直後は中古価格が上がり、その上昇分は大規模修繕工事にかけた金額よりも高くなる例が多いようです。
しかし、現在の経済情勢では、そのまま上がり続けるということはほとんどありません。
むしろ、金銭では評価できない価値、すなわちそのマンションで生活する際の安心感や快適感をマンション全体の資産と捉え、それを向上させる取り組みが資産価値向上であると考えます。

 

1.長期修繕計画とは
マンションの主に共用部分について、いつごろ、何を、どのように、いくらぐらいで修繕するか、向こう25年から30年間にわたり計画したものを長期修繕計画と呼びます。
いつごろにあたる修繕周期や、何にあたる修繕項目は、立地環境や管理状況に左右され、細かくいえばマンションごとに異なるものですが、従来作成者によって考え方がバラバラで、不適切な内容の長期修繕計画が見受けられることがあったため、標準的な様式として平成20年に国土交通省が「長期修繕計画標準様式」を定め、現在はそれが基準とされています。

 

2.標準的な修繕項目と修繕周期について
準様式を使って実際に長期修繕計画を作る方法を示す「長期修繕計画作成ガイドライン」も同時期に策定されました。そこに記されている標準的な修繕項目および修繕周期は別表のとおりです。

 

3.修繕積立金の額の目安
平成20年度に行われたマンション総合調査(国土交通省)では、駐車場使用料等からの充当額を含む修繕積立金の平均は、月額戸当たり1万1877円となっています。一方、新築マンションの修繕積立金の当初設定額は、月額戸当たり平均7006円(平均95・4円/㎡・月)(平成21年首都圏新築マンション契約者動向調査(リクルート調べ))です。
必要な修繕積立金が十分に積み立てられず、長期修繕計画に定めた修繕工事を、計画的に実施するために、段階的に積立金を値上げ改訂せざるを得ない事情がうかがわれます。
新築マンションの購入予定者向けの資料ですが、平成23年4月に国土交通省から「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が発表されました。そこには、前項の長期修繕計画ガイドラインにおおむね沿って作成された事例を分析し、15階建て未満の専有床面積当たりの修繕積立金の額の目安の平均値が178円~218円/㎡・月と示されています。
200円/㎡・月程度を積み立てておかないと、いざ大規模修繕を実施しようとしても、手持ち資金が不足する事態を招く恐れが高いといえます。

 

4.長期修繕計画の使い方
どんなに精緻に作られた長期修繕計画であっても、それを実際に活用しなければ意味がありません。大規模修繕工事はいきなり始めることができず、1~2年前より様々な準備が必要です。大半のマンションでは管理組合役員(理事)の任期が1年で、準備から実施に移る際の情報の円滑な伝達が、必ずしも十分とはいえない例も見られます。
そんな時に、長期修繕計画を修繕の予定表として関係者全員が了解していれば、進め方の大筋で混乱する恐れがなくなります。また、大切な修繕積立金の資金繰りも、工事に伴う大きな金額の出入りを予測することにより、あらかじめ準備が可能となります。

 

5.長期修繕計画の注意点
ガイドラインでも触れられていますが、機械式駐車場の有無で必要となる修繕費が大きく変わります(機械式駐車場の修繕工事費が相対的に高い)。また、戸数が少ないマンションでは、残念ながら規模のメリットが生かせず、戸当たりの修繕費用が高めとなります。
反対に、超高層や大規模な団地型マンションでは、設置されている機器が普通のマン資産価値向上シリーズションよりも大型で複雑で、例えば非常用自家発電機や泡消火設備等は、高額の更新費用が掛かります。
お住まいのマンションの特性を考慮して、適切な長期修繕計画を立て、計画的な修繕を適切に実施してください。最後に、大規模修繕工事を実施すると、実際の見積(工事)金額がいわば貴重な生の情報として得られます。5年程度ごとの長期修繕計画の見直しには、是非それを採り入れて、現実との誤差が少ない長期修繕計画の作成が望まれます。

 

 

 

長期修繕計画標準様式

 

長期修繕計画作成ガイドライン

 

 

 

 

 

 

マンション暮らしのフォーシーズンから