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資産価値向上のポイント長期修繕計画

2017年3月15日 / カテゴリ:長期修繕計画

 

資産価値の向上というと、誰もがすぐに流通価格の上昇を思い浮かべます。確かに、大規模修繕工事直後は中古価格が上がり、その上昇分は大規模修繕工事にかけた金額よりも高くなる例が多いようです。
しかし、現在の経済情勢では、そのまま上がり続けるということはほとんどありません。
むしろ、金銭では評価できない価値、すなわちそのマンションで生活する際の安心感や快適感をマンション全体の資産と捉え、それを向上させる取り組みが資産価値向上であると考えます。

 

1.長期修繕計画とは
マンションの主に共用部分について、いつごろ、何を、どのように、いくらぐらいで修繕するか、向こう25年から30年間にわたり計画したものを長期修繕計画と呼びます。
いつごろにあたる修繕周期や、何にあたる修繕項目は、立地環境や管理状況に左右され、細かくいえばマンションごとに異なるものですが、従来作成者によって考え方がバラバラで、不適切な内容の長期修繕計画が見受けられることがあったため、標準的な様式として平成20年に国土交通省が「長期修繕計画標準様式」を定め、現在はそれが基準とされています。

 

2.標準的な修繕項目と修繕周期について
準様式を使って実際に長期修繕計画を作る方法を示す「長期修繕計画作成ガイドライン」も同時期に策定されました。そこに記されている標準的な修繕項目および修繕周期は別表のとおりです。

 

3.修繕積立金の額の目安
平成20年度に行われたマンション総合調査(国土交通省)では、駐車場使用料等からの充当額を含む修繕積立金の平均は、月額戸当たり1万1877円となっています。一方、新築マンションの修繕積立金の当初設定額は、月額戸当たり平均7006円(平均95・4円/㎡・月)(平成21年首都圏新築マンション契約者動向調査(リクルート調べ))です。
必要な修繕積立金が十分に積み立てられず、長期修繕計画に定めた修繕工事を、計画的に実施するために、段階的に積立金を値上げ改訂せざるを得ない事情がうかがわれます。
新築マンションの購入予定者向けの資料ですが、平成23年4月に国土交通省から「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が発表されました。そこには、前項の長期修繕計画ガイドラインにおおむね沿って作成された事例を分析し、15階建て未満の専有床面積当たりの修繕積立金の額の目安の平均値が178円~218円/㎡・月と示されています。
200円/㎡・月程度を積み立てておかないと、いざ大規模修繕を実施しようとしても、手持ち資金が不足する事態を招く恐れが高いといえます。

 

4.長期修繕計画の使い方
どんなに精緻に作られた長期修繕計画であっても、それを実際に活用しなければ意味がありません。大規模修繕工事はいきなり始めることができず、1~2年前より様々な準備が必要です。大半のマンションでは管理組合役員(理事)の任期が1年で、準備から実施に移る際の情報の円滑な伝達が、必ずしも十分とはいえない例も見られます。
そんな時に、長期修繕計画を修繕の予定表として関係者全員が了解していれば、進め方の大筋で混乱する恐れがなくなります。また、大切な修繕積立金の資金繰りも、工事に伴う大きな金額の出入りを予測することにより、あらかじめ準備が可能となります。

 

5.長期修繕計画の注意点
ガイドラインでも触れられていますが、機械式駐車場の有無で必要となる修繕費が大きく変わります(機械式駐車場の修繕工事費が相対的に高い)。また、戸数が少ないマンションでは、残念ながら規模のメリットが生かせず、戸当たりの修繕費用が高めとなります。
反対に、超高層や大規模な団地型マンションでは、設置されている機器が普通のマン資産価値向上シリーズションよりも大型で複雑で、例えば非常用自家発電機や泡消火設備等は、高額の更新費用が掛かります。
お住まいのマンションの特性を考慮して、適切な長期修繕計画を立て、計画的な修繕を適切に実施してください。最後に、大規模修繕工事を実施すると、実際の見積(工事)金額がいわば貴重な生の情報として得られます。5年程度ごとの長期修繕計画の見直しには、是非それを採り入れて、現実との誤差が少ない長期修繕計画の作成が望まれます。

 

 

 

長期修繕計画標準様式

 

長期修繕計画作成ガイドライン

 

 

 

 

 

 

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