水道管の凍結予防
寒さが厳しい季節になると多いトラブルが水道管の凍結です。
弊社で管理させていただいている埼玉のマンションでも
早朝に凍結が発生することがありますが
そのままの状態で放置してしまうと、まれに水道管が破裂してしまうことがあります。
破裂してしまうと水道業者さんに修理を依頼しなければなりませんので
そうならないために予め凍結を防ぐ対策が重要となってきます。
凍結の予防
水道管や蛇口に、布などを巻き付けて熱が逃げないようにします。
メーターボックスの中も凍りやすいので、布を詰めたりして忘れずに保温してください。
凍結してしまったら
布などを巻き付けた部分にぬるま湯をゆっくりとかけてください。
この時熱湯を使用するのは厳禁です。水道管が破裂する恐れがあります。
水道管が破裂してしまったら
破裂箇所から水が噴き出してしまいますので、まずは水道管の元栓を閉めてください。
元栓は一般的に水道メーターの隣にあります。
トイレも含め、室内の水が一切使えなくなりますのでご注意ください。
その後、水道業者さんや水道局に修理を依頼してください。
水道管が破裂するような気温の場合、
近隣の地域で同様に破裂トラブルが多発している可能性があり、
水道業者さんが手いっぱいで修理が遅れてしまうことがあります。
そうならないよう水道管を凍結させない予防が重要です。
マンションですと共用の散水栓以外の水道管はパイプスペース内で保温ラッキングされていることがほとんどですが
経年劣化でラッキングが破れて水道管が一部露出していると
凍結の原因となりますのでご注意ください。
受水槽方式から直結給水方式への切り替え
マンションの築年数が20年を経過すると、様々な設備の交換が必要となります。
給水設備である受水槽もその一つです。一般的な受水槽の耐用年数は20年~30年程度、
受水槽から各戸へ水を送る為の加圧ポンプは10年程度と言われています。
更には年1回の受水槽清掃や、水質検査にも費用が発生する為、受水槽の維持に掛かる費用は
管理組合にとって大きな負担となります。
受水槽方式には以下の2通りがあります。
受水槽加圧ポンプ給水方式
・受水槽に貯めた水を加圧ポンプで各戸に送る
・受水槽、加圧ポンプの故障時に交換が必要
・受水槽は年1回の清掃と検査が必要
・断水の際は受水槽に貯まっている水を各戸に供給できる
・停電の際はポンプが停止すると使用できない
受水槽揚水ポンプ高架水槽給水方式
・受水槽に貯めた水を揚水ポンプで屋上の高架水槽まで上げて、落ちてくる水の勢いを
利用して各戸に給水する方式で、高層マンションや、経年マンションに多い。
・受水槽、揚水ポンプ、高架水槽の故障時に交換が必要。
・受水槽、高架水槽は年1回の清掃と検査が必要。
・受水槽と高架水槽を経由する為、衛生面に注意が必要。
・断水の際は受水槽、高架水槽に貯まっている水を各戸に供給できる。
・停電の際にも高架水槽に貯まっている水を使用できる。
給水設備にかかる支出をできるだけ抑える為の方法として、受水槽に水を貯めずに
本管から引き込んだ水を各戸に給水する『直結給水方式』があります。
この方式に変えれば、受水槽に掛かるメンテナンス費用や交換費用は今後発生しませんし、
受水槽を介さないので水質も衛生的です。更に3階程度の低層マンションで、本管からの
水圧のみで各戸に水を送ることができる場合は、ポンプの設置も不要となり、
ポンプに掛かる費用も削減できます。
直結給水方式には以下の2通りがあります。
直結直圧給水方式
・水道本管から引込管を通り各戸に水が供給される。本管からの水圧のみで水を送る為、
主に低層マンションが対象となる。
・設備が一切無いので、維持費用が不要。
・本管の水が直接供給される為衛生的。
・断水時は水を使用できない。
・停電時でも使用できる。
直結増圧給水方式
・水道本管からの水を増圧給水ポンプで各戸に供給する。
・増圧給水ポンプの故障時に交換が必要。
・各自治体の条例により、年1回以上の増圧給水ポンプの点検が必要。
・本管の水が直接供給される為衛生的。
・断水時は水を使用できない。
・停電時は本管からの水圧で送水可能な低層階のみ使用できる。
受水槽方式と直結給水方式の特徴を比べると、直結給水方式の一番のメリットとして、
維持費用が安価であることです。デメリットとしては、水を貯める装置が無いので
断水時水が使用できませんが、これは各家庭や管理組合で飲料水を備蓄すれば良いと思います。
注意したいのは直結給水方式を導入できない場合があることです。
その地域の本管の水圧が足りない、マンションの世帯数が多すぎる、引込管が細すぎる等。
条件が揃うと5階建てのマンションでも直結直圧給水方式が可能な場合があります。
検討の前に、まずは導入できるかどうか管轄の水道局や水道工事業者にご相談ください。
漏水に対する保険の備えを!
30年以上の高築年数のマンションにお住いの皆様、専有部分(自室)に関わる火災保険
(個人加入)に必要な補償で、外せない補償が二つあります。
高築年数のマンションで、多発するのは「水漏れ」事故です。
集合住宅ではいつ起きてもおかしくない事故であり、上階の方が洗濯機のホースを
外してしまった、湯船に水を入れ続けてしまった等のヒューマンエラーに起因する
場合もありますが、専有部分の劣化した配管から水が漏れてしまった等の、
設備の経年劣化による漏水は、建物の高齢化と共に発生が増えてきます。
必要になる特約補償は二つです。
1. 水濡れ損害補償(被害を受けることを想定して契約しておく保険)上階から
漏れてきた水による被害を、下階の方ご自身の保険で補償してもらいます。
2. 個人賠償責任補償(加害者となることを想定して契約しておく保険)上階で
漏水の原因を生じさせた方は、下階の方の被害に対する賠償責任が生じます。
その時上階の方が「個人賠償責任保険」を契約していれば、保険で被害が
補償されます。
ただし被害が全額補償されるとは限りません。
保険で補償範囲がカバーされない場合は、加害者となった方が不足分を
自己負担で補填する場合もあり得ます。
マンションの配管の区分について
マンションの配管には給水管と排水管がありますが、 「共用部分」の配管と、
「専有部分」の配管に分かれます。
共用部分の配管が原因の水漏れ被害は、管理組合が契約するマンション総合保険に、
建物管理賠償責任(施設賠償責任)補償特約が付されていれば、保険で被害が補償されます。
給水管の場合、各戸メーターから下流の管が専有部分の扱いになります。
専有部分の給水管に起因する下階への漏水被害は、区分所有者が賠償責任を
負います。
基本的に、床下にある配管は、区分所有者の所有する専有部分の配管です。
ご自身の部屋の床下の配管から水が漏れて下階に損害を与えた場合は、
補償の責任を負うこととなります。
実際のところ、高経年マンションでは、専有部分の劣化した配管からの
漏水事故が、多くを占めていますのでご注意ください。
以上漏水事故の発生に備えて、万がーの時に役に立つ保険の効用をご説明しました。
漏水事故は、集合住宅に居住する限り、どなたでも遭遇する恐れがあります。
特に加害者になった場合を想定して、最低限個人賠償責任補償には加入して
おくべきでしょう。
未加入の状態は、自賠責保険に入っていないクルマに乗っているのと
同様である位の認識が妥当だと思います。
マンションの雨漏りに対する管理組合としての備え
例年、夏から秋にかけて台風が多く発生します。
台風は通常の雨に比べ雨量が増えることや、横殴りの雨となることから、
思いがけない所から雨がマンション室内に侵入します。
雨漏りは原因の特定が困難です。
漏水箇所は主に屋上防水の劣化、外壁のクラック、コーキングの劣化等が考えられますが、
天井裏で水が回って、マンション室内に雨が侵入していることもあり、
漏水箇所は水濡れ箇所の付近とも限りません。
調査は、雨が降っていない時に実施する場合、水を掛けて行いますが、
大量の水を長時間掛け続けることを繰り返し行い特定していきます。
一日で特定できないこともあり、居住者は雨が降る度に不安を抱えながら
生活をしなければなりません。
漏水箇所が判明した後は、漏水を止める工事を行いますが、仮に屋上の防水工事を
長期間行っていない為漏水が発生したのであれば、屋上防水工事を行わなくてはいけません。
工事金額も百万円以上の金額となり、理事会と総会を経て実施することとなると、
漏水発生から数か月後に工事に取り掛かるということもあります。
その間、マンション室内は雨が降る度に漏水が起こり、天井や壁のボードが崩れ落ち、
とても住んでいられる状態ではなくなることも多くあります。
その場合、工事が終わるまでどこかに仮住まいをしなくてはならない事も想定され、
居住者の精神的負担は相当なものとなります。
管理組合にとっては金銭的な負担も大きな痛手となります。
雨漏りは基本的に保険で対応できません。
漏水原因が分からずその調査をする為であれば調査費用は保険で賄うことは出来ても、
修理費用や部屋内の原状回復費用は保険金が下りません。
その為雨漏りが起こると金銭的な負担が発生します。
今まで防水工事を実施していない管理組合は、修繕費が不足している為
実施していなかったという所も多く、急な出費に対応できないケースもあります。
漏水を発生させない為には、なによりも計画的に修繕を行い、メンテナンスをすることが
重要で、屋上やルーフバルコニーの防水工事、外壁の修繕を定期的に実施することです。
また、工事の保証期間があると漏水が発生しても修繕費による金銭的負担が無くて済みます。
保証期間が終わるころに次の防水工事に取り掛かれるよう準備をしておくことです。
修繕費が不足している管理組合は、修繕積立金の値上げも検討し備えていく事が重要です。
「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の一部改正について
令和4年4月1日より「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の
一部改正が施行されます。
この改正は、マンションの適正な維持管理及び維持管理のための
資金面(修繕積立金)に焦点を当てた改正となっており、
その背景に大まかに以下の課題が存在しています。
1. 区分所有者の高齢化、非居住化により管理組合役員の担い手が不足。
2. マンション管理の専門化・複雑化により合意形成の困難さが増大。
3. 管理状況等に対する情報ニーズの高まりに対し、管理情報が不足。
4. 適切な長期修繕計画が策定されていない、又は修繕積立金の不足等により
必要な修繕がなされない懸念が発生。
又、その課題に対応するため国は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の一部改正が施行されます。
【改正に伴い改正された法律の概要】
1. 国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針を策定
2. 地方公共団体による以下の措置を講じる
① マンション管理適正化推進計画制度
※基本方針に基づき、管理の適正化の推進を図るための施策に
関する事項等を定める計画を作成(任意)
② 管理計画認定制度
※マンション管理適正化推進計画を作成した地方公共団体は適切な
管理計画を有するマンションを認定
③ 管理適正化のための指導・助言等
※管理の適正化のために、必要に応じて、管理組合に対して指導・助言等
国の認識として、「老朽化を抑制し、周辺への危害等を防止するための維持管理の適正化や
老朽化が進み維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取組の強化が喫緊の課題」が
挙げられており、今後は地方公共団体が区域内のマンションの実態の把握を進めるとともに、
管理が適正に行われていないマンションへ必要に応じて指導・助言、専門家の派遣等による
支援を行う等、能動的に関与していく方向性を示しています。
区分所有マンションにおいては、適切に維持管理されない場合は戸建住宅に比べて、
周辺の住環境に与える影響(適切な管理が行われていない空家等が防災や衛生、景観面等)が
大きく、2019年7月に「空き家対策特別措置法」に基づく行政代執行により解体された例があります。
当社は、総合管理サービスにおいては勿論ですが、機関事務である
会計業務サービスにおいても経験や知識に基づく助言や総会への
オブザーバーとしての出席(有料)、管理規約の作成・変更(有料)も行っており、
それぞれの管理組合様の現状に応じたサービスを提供しております。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律 マンションの管理の適正化の推進に関する法律 改正 令和2年
マンション管理適正化法 マンション管理適正化法施行規則 マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行令 マンション管理適正化法
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