マンションにおける個人情報取り扱いの注意点
マンション管理組合や管理会社が取り扱う個人情報は
適切に管理しなければ重大なトラブルにつながります。
近年、個人情報保護法の意識が高まる中
マンション管理の現場でも慎重な対応が求められています。
以前もブログで個人情報について書かせていただきましたが
今回は取り扱いの注意点について深掘りしていきます。
1. マンションで扱う個人情報の範囲
マンション管理において取り扱う個人情報は多岐にわたります。
区分所有者や居住者の氏名、住所、連絡先はもちろん
家族構成や年齢、管理費・修繕積立金の滞納情報なども該当します。
さらに、駐車場や駐輪場の利用状況、ペット飼育状況
防犯カメラの映像記録なども個人情報として扱われます。
これらはすべて個人情報保護法の対象となるため
取り扱いには十分な注意が必要です。
2. 管理組合が注意すべきポイント
(取得時の注意点)
個人情報を取得する際には、まずその利用目的を明確に伝えることが重要です。
「マンション管理のため」といった漠然とした説明ではなく
「緊急連絡用」「管理費請求のため」など具体的な目的を示す必要があります。
また、必要最小限の原則に基づき
管理に本当に必要な情報のみを収集するよう心がけましょう。
(保管・管理の注意点)
収集した個人情報は適切に保管しなければなりません。
紙の書類は鍵付きキャビネットに保管し
USBメモリやパソコンで管理する場合はパスワードの設定など
第三者が閲覧できないような工夫が必要です。
また、閲覧できる人は管理会社と理事会メンバーなど必要最小限に限定し
原則として個人情報を外部に持ち出さないルールを徹底することが大切です。
理事が自宅に書類を持ち帰る際は、紛失等しないよう注意しましょう。
(使用時の注意点)
個人情報は取得した目的以外での使用が禁止されています。
例えば、管理費徴収のために取得した連絡先を
理事が個人的な勧誘活動に使用することは違法です。
また、理事会の議事録に個人名を記載する際は慎重に判断し
掲示板に滞納者名などを公開することは原則として避けるべきです。
個人を特定できる情報の公開は
プライバシー侵害や名誉毀損につながる可能性があります。
3. よくある問題事例
実際にマンション管理の現場では
個人情報の取り扱いに関する問題が発生しています。
例えば、総会で全戸の連絡先一覧を無断で配布してしまったケースがあります。
これはプライバシー侵害となり、訴訟リスクを伴います。
また、掲示板に「○○号室の△△様、管理費が未納です」と
掲示してしまった事例もあります。
これは名誉毀損に該当する可能性があります。
さらに、理事が名簿を使って個人的な勧誘活動を行ったケースも報告されています。
これは明らかな目的外使用であり、違法行為です。
4. 防犯カメラの取り扱い
防犯カメラの映像も重要な個人情報です。
設置する際には、防犯目的であることを明確にし
撮影範囲は共用部分のみに限定します。
各住戸の玄関ドア内部が映らないよう配慮が必要です。
また、「防犯カメラ作動中」といった表示を設置し
居住者に周知することも大切です。
録画された映像の管理も慎重に行う必要があります。
閲覧できる人は管理会社や理事長、理事長が認めた者など
限定されたメンバーのみとします。
警察からの要請など正当な理由がある場合を除き
第三者への提供は避けるべきです。
居住者から「隣人とのトラブルで証拠が欲しい」と言われても
安易に映像を提供することは個人情報保護の観点から避けた方がいいです。
5. マンション特有の配慮事項
マンションという集合住宅ならではの配慮も必要です。
住民間のトラブルが発生した際
「隣人の連絡先を教えてほしい」と言われることがありますが
原則として個人情報を第三者に開示することはできません。
苦情対応で相手の情報を開示する場合も
匿名での対応を基本とするべきです。
最後に
マンション管理における個人情報保護は、法的義務であると同時に
居住者との信頼関係を築く上で欠かせない要素です。
必要な情報のみを収集し、適切に保管・管理し、目的外使用をせず
不要になったら確実に廃棄するという基本原則を守ることが重要です。
小規模なマンションであっても個人情報保護法は適用されます。
「知らなかった」では済まされないため
管理会社と連携して適切な管理体制を構築しましょう。
不明点がある場合は
管理会社や個人情報保護の専門家に相談することをお勧めします。
適切な個人情報管理は
安心して暮らせるマンションづくりの基盤となります。
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マンションの給水方式について
皆様がお住まいのマンションで
緊急時以外に断水することはありますでしょうか?
マンションごとに水を供給する方法は違っているので
停電や水道本管の断水などの緊急時だけでなく
設備のメンテナンスにより
計画的に水が使用出来なくなるマンションもあります。
では実際に、マンションでは
どのような給水方式が採用されているのでしょうか。
マンションの給水方式には大きく分けて
「受水槽給水方式」、「高架水槽給水方式」、「増圧直結給水方式」、「直圧直結給水方式」の
4つの方式があります。
受水槽給水方式
水道本管から受水槽に供給した水を
加圧ポンプを利用して各戸に供給する方式で
中小規模のマンションで主流になっている給水方式です。
メリットとしては
停電や水道本管の断水時も
受水槽内の水を利用することがあげられます。
但し、停電等の理由によりポンプが止まっている場合は
各戸に個別給水することが出来なくなるため
受水槽からの直接水を汲み出す必要があります。
デメリットとしては
受水槽の清掃費用や検査費用が掛かることです。
高架水槽給水方式
水道本管から1階受水槽に一旦水を給水し
そこから揚水ポンプを利用して
屋上の小さな高架水槽へ水を揚水し
重力を利用して各戸へ水を供給する方式です。
以前は多くのマンションで採用されてきた方式ですが
近年は給水ポンプの性能向上により
あまり見かけなくなりました。
メリットとしては
停電や水道本管の断水時も
受水槽内の水を利用することが出来ます。
また、この方式は水の重力を利用して各戸へ給水するので
停電でポンプが停止した状態でも
高架水槽の分の水は蛇口から給水可能です。
デメリットは
重力で水を供給するため低層階だと水圧が高いですが
上階だと水圧が低くなってしまいます。
また、受水槽にプラスして
高架水槽の清掃費用や検査費用が別途掛かります。
増圧直結給水方式
水道本管内の給水圧に加えて
更に増圧ポンプで水圧を高めて
受水槽などを経由せずに本管から直接各戸に給水する方式です。
近年の新築マンションでは
この給水方式が多く見受けられます。
メリットとしては
受水槽や高架水槽に水を貯めないので衛生的です。
また、水槽の清掃費用や検査費用は掛かりません。
(増圧ポンプの法定点検費用は掛かります)
デメリットとしては
停電時には上階への給水圧力が低下するので
即時に断水することです。
また、圧力の関係から
概ね15階程度のマンションが限界とされています。
直圧直結給水方式
水道本管内の給水圧のみで直接各戸に給水する方式です。
メリットとしては
水槽に水を貯めないで衛生的であること
水槽やポンプを設置しないので
給水管以外の設備の維持管理費が掛からないこと
停電時でも給水可能であること等
他の給水方式より大きなメリットがあります。
但し、デメリットといえるかわかりませんが
直結直圧給水方式が可能なマンションは
水圧の関係で都市部の低層マンションに限られています。
※詳しくは各自治体にご確認ください。
ご自身のマンションで
どのような給水方式が採用されているか判ると
緊急時への備えの意識も変わってくると思います。
特に受水槽給水方式や増圧直結給水方式を採用していると
停電が起きただけで
水も出なくなってしまうことになりますので
飲み水や生活用水の確保など
日頃からの備えをお勧めします。
マンションの生活音について
私もマンションの管理会社という立場から
居住者の方から色々なご相談を受けますが
ご相談で最も多いのは音に関するもので
なかでも子供の声や足音、床を通した下階への騒音・振動等
「生活音」の問題が多いと感じています。
お部屋の床をリフォームする際
こういった「生活音」で近隣に迷惑をかけない為に
床材の選定は重要になってきますが
最近のフローリング床は
緩衝材でかなりのレベルの騒音を下げることができるようになっています。
また、防音タイプの床材なら
階下に伝わる音を更に低減します。
例えば椅子を引く音や、物を落としたときのような
軽くて硬い音などの伝わりをやわらげることができます。
床材には遮音等級という基準があり
これにより階下への遮音性能がわかります。
Lー〇〇といった表記となっており
数字が低いほど遮音性能が高くなっていますのでご注意ください。
下記はリフォームの場合の基準(遮音等級)となります。ご参照ください。
また、マンションで床のリフォームする際には
マンションごとに最低限の遮音等級が定められている場合もありますので
床材選定の前に管理会社や管理組合に確認しましょう。
ただ、いくら遮音性能が高い床材を使用していても
音の聞こえ方は人それぞれですので
小さな音でも気になる人は気になります。
何かの作業の音など、音の原因がはっきりしている場合は
話し合いなどで解決できるケースもありますが
足音や普段の話し声など「通常の生活音」が響く場合は
なかなか解決できない状況に陥り難しい問題となります。
困っている気持ちを伝えるのが一番ですが
どうしても直接言えない場合は
管理会社(管理組合)に相談して
名前や階数を特定せずに全世帯へのお願いとして
掲示することも一つの手段です。
マンションは共同住宅ですので
すぐ隣には別の方が生活されています。
生活音は当然聞こえてくるものだし
相手にも聞こえると認識することが大事だと思います。
また、こういったトラブルになる前に
日頃から近隣とのコミュニケーションは何より大切にしましょう。
顔見知りの人が出す生活音は意外と気にならないものです。
宅配ボックスのトラブル
ネット通販の急速な普及や新型コロナウイルスをきっかけとして
マンションにおける宅配ボックスの需要はかなり増えました。
弊社の管理マンションでも、荷物の再配達を減らす目的や
置き配による廊下での私物放置の問題を懸念して
新たに宅配ボックスを設置するところがいくつかあり
設置工事の見積取得や設置場所を検討し、理事会に提案したことがあります。
宅配ボックスを設置したことに伴い居住者の利便性は向上しましたが
それに伴い宅配ボックスを巡る様々なトラブルも増えたのも事実です。
例えば、暗証番号が書かれた配達票がポストに入っていたが
暗証番号を入力しても開かないですとか
宅配ボックスの空きが無く利用できないといったご相談が増えました。
暗証番号の違いは居住者から宅配業者に問い合わせても
「間違いなくその番号で入れました」との回答しかなく
結局水掛け論で終わってしまうようです。
最終的に弊社などの管理会社がマスターキーで開錠しに行きますが
試しに書かれた暗証番号を入力してみてもやはり開かないので
間違った番号で施錠してしまった可能性が高いです。
宅配ボックスの空きの問題は、利用者増によるものもありますが
配達票の入れ忘れにより長期間入庫したままの荷物があったり
私物が入っていたりといったことも原因の一つです。
なかには、悪質な宅配業者が入庫場所を確保しているのか
空のまま施錠されていることも度々あります。
最近の宅配ボックスは、そういった暗証番号の違いによるトラブルや
悪戯等に対策する為の工夫が施されています。
居住者には予めお部屋ごとの暗証番号が与えられており
取り出す際は部屋番号と暗証番号を入力して取り出すので
暗証番号による間違いが起きません。
また、宅配業者が荷物を入庫する時は
部屋番号を登録しなければ入庫出来なく
且つ液晶ディスプレイに入庫された荷物の部屋番号が表示されますので
悪戯をされづらいです。
ご自身のマンションで宅配ボックスをリニューアルしたり新たに設置される際は
上記のような機種を選択されてると更に利便性は向上されますので
検討されてはいかがでしょうか。
ペットのトラブルを未然に防ぐには
分譲マンションですと室内でのペット飼育を可としているところも多くありますが
ほとんどの管理組合でペットの飼育方法についてのルールを定めています。
ルールで多いのは「鳴き声で迷惑をかけてはならない」「排泄物を正しく処分する」
「共用廊下で歩かせてはならない」の3つですが
その他にも、飼育可能なペットの種類や頭数を定めていたり
毛の飛散を禁止していたり
なかには定期的な健康診断を義務付けている場合もあります。
マンションは色々な人が1つの建物で生活するわけですから
他人に迷惑をかけないルールがメインとなっています。
弊社で管理させていただいているマンションでも
ペット可のマンションは沢山ありますが
居住者の方からのご相談で多いのは
やはり「ペットの鳴き声」に関するご相談です。
もちろんペットの種類やしつけの度合いにより異なると思いますが
昼夜を問わず鳴き出してしまうことにより
近隣の居住者の方から「寝られない」ですとか
「在宅ワークに集中できない」といったご相談があります。
管理会社でも、騒音トラブルの際は管理組合に相談し
注意喚起のお知らせを配布したりしていますので
お困りの時は一度管理会社へ相談してみましょう。
ただ、飼っているペットの性格もあると思いますので
注意しても直らず、飼っている本人もどうしたらいいのか判らない
といったこともあると思います。
こういったトラブルを未然に防ぐためには
近隣住民との日頃からのコミュニケーションが最も重要だと考えます。
ペットを自宅に招き入れたら
上下左右(できれば斜めも)のお部屋に
ご迷惑をかける可能性がある旨、ご挨拶に行きましょう。
ペットと一緒に挨拶に行っても良いかもしれません。
また、廊下等で近隣の方とすれ違ったら
ペットのことでご迷惑をお掛けしていないか声をかけましょう。
常日頃コミュニケーションをとっていると
騒音に対する許容範囲がまるで変ってきます。
繰り返しになりますが、騒音問題の「未然防止」や「解決」には
日頃の挨拶などのマンション内のコミュニケーションがしっかりしていることが最も重要です。
トラブルに発展しないよう、心がけましょう。