専用庭の取り扱いについて
マンション1階に専用庭が設置されているマンションがあります。
鉢植えを置いて自分好みの庭を作ったり
バルコニーに干しきれない洗濯物を干したり
生活を豊かにしてくれるものですが
マンションゆえに下記のような様々な取り決めがあり
知らないと思わぬトラブルを招くことがあります。
毎月専用使用料を支払わなくてはならない
マンションにおける専用庭の扱いは、一般的に共用部分に属しており
組合員全員の共有財産となります。
そのため、専用庭に隣接しているお部屋のオーナーは
毎月専用使用料を管理組合に収めて
使用する許可をもらっているかたちとなります。
金額は庭の広さや管理組合の方針によりますが
大体月額500円~2,000円位です。
また、専用庭は対象のお部屋に付属している設備であるため
お部屋のオーナーは庭の使用の有無に関わらず
専用使用料を支払わなくてはなりません。
庭の管理は原則居住者(オーナー)がおこなう
専用庭は共用部分ではありますが専用使用部分となりますので
庭の管理は原則居住者(オーナー)が行わなくてはなりません。
雑草とりや害虫の駆除はもちろん
自分で木を植えた場合は剪定も行う必要があります。
(※本来は、木を植えること自体を控えた方が良いです)
木や雑草が隣の庭に越境しているとトラブルの元ですので
こまめに管理しましょう。
但し、マンションが建てられた時から植えられていた樹木や生垣は
管理組合で管理しているケースが多く
管理組合の費用負担で業者に剪定を依頼していることが多いです。
近隣に迷惑をかける行為は原則禁止されている
マンションの構造にもよりますが
専用庭の隣は別のお部屋の専用庭になっていることが多いです。
青空が見えて開放的ではありますが
庭でバーベキューをしたり、花火などする行為は
隣の庭に煙が流れてしまったり、火が植栽に燃え移る危険があるので
原則禁止されています。
お部屋を売却する時は原状回復が必要
専用庭はオーナーの持ち物ではなく
あくまでも管理組合から借りている設備ですので
お部屋を売却するときには専用庭の原状回復が必要です。
置いた鉢植えの処分は当然ですが
木を植えてしまっていたら伐採して本来の状態に戻します。
オーナーのなかには、庭を天然芝から人工芝に自分で変更してしまう方もいますが
これも本来は共用部分の変更に当たり、禁止事項です。
禁止となっていないマンションでも
売却時は元の天然芝に戻さなくてはなりません。
このように、専用庭にはいろいろな制約があり
一戸建ての庭の感覚で使用すると
後で思わぬトラブルに発展することがあります。
近隣や管理組合と揉めることがないように
ご自分のマンションでは専用庭の取り扱いについてどのような決まりになっているか
予め管理会社や管理組合に確認してから使用しましょう。
排水管清掃の実施率を上げるために
マンションの排水管清掃は
排水管の詰まりや悪臭などのトラブルを防止するために
定期的におこなうことが望ましく
年に1回程度実施しているマンションが多いと思います。
排水管清掃とは、住戸内の台所・洗面所・風呂場・洗濯機の排水を流すための管を
高圧洗浄ポンプを用いて水の力で
管内の汚れをそぎ落としていく洗浄作業になります。
なるべく下の階から清掃をはじめることにより
管内の清掃作業中に下部が詰まって
上から汚水が溢れ出るといった事故を防ぎます。
余談ですが、近年ドラム式洗濯機を使用する方が増えてきましたが
ドラム式は本体サイズが大きいため
設置スペースの問題で洗濯機の下に排水口が隠れてしまい
洗濯機下の排水口からの清掃ができないケースが増加しています。
ドラム式洗濯機は重量があるため自力で移動させることは困難です。
清掃業者によっては一時的に洗濯機を持ち上げるなどの対処をする場合もありますが
洗濯機の故障や壁面の破損の原因になるため、あまり一般的ではありません。
こういった場合には、 洗濯機の下部にスペースを空けるための
嵩上げ台なども市販されているため
設置を検討してみるのも良いかと思います。
排水管は各住戸の床下の横引き管から共用の竪管につながっているため
部分的に清掃をおこなっても効果が薄いので
できるだけ多くの住戸で清掃をおこなうことが大切で
住戸内への立ち入りが必須となる作業です。
しかしながら、実際には協力を得られない居住者も多く
実施率が上がらない問題が起こっているマンションも多いのではないでしょうか。
実施率の低いマンションの傾向として
「共働き夫婦の多いマンション」や「賃貸がメインのマンション」で
より実施率が低い傾向にあります。
前者は仕事などの都合により在宅できない
後者はあくまでの借りているだけの部屋なので維持管理に理解が浅い
といった理由が聞かれます。
管理会社も各部屋の鍵を預かることは原則としてありませんので
代わりに実施することは出来ません。
こうした問題を解決することは容易ではありませんが
実施率を高める方法として、以下のような案があります。
①清掃実施日を増やす
排水管清掃の実施日を増やすことによって、居住者の選択肢が増え
仕事などの都合により実施できない方を減らすことが期待出来ます。
実施日を増やす場合、事前に居住者へ
どの曜日が良いかアンケートを行うことにより
期待できる効果が目に見えて判るので
検討してみるのもいいでしょう。
但し、実施日を増やすことにより
当然ながら業者手配の費用がより多く掛かりますので
事前に費用対効果を検討してから増やすのが良いでしょう。
②排水管清掃の重要性を記載した書面を配布する
排水管清掃を「実施することにより得られる効果」(悪臭の軽減など)
「実施しないことによるリスク」(管の詰まりによる排水の溢れ
他の住戸への漏水事故など)を記載して
実施を促す書面を配布してみるのも一つの手です。
居住者の中には、排水管清掃の重要性が
あまり判らない方もいるかもしれませんので
理解を深めてもらうことにより、実施に前向きになってもらいます。
全ての方に効果があるわけではありませんが
一部の方には実施するきっかけになるかもしれません
マンションの排水管清掃は法定業務ではありませんが
汚れが蓄積してからでは深刻な問題が発生することもあるため
定期的に清掃が必要です。
また、前述したとおり居住者の在宅が必ず必要になります。
そのため、居住者の都合で
毎回同じ部屋で排水管清掃を実施できない事例も多いのが実態です。
しかしながら、長期間清掃を実施しないと、排水不良が生じて
場合によっては排水が漏れて下階への漏水事故につながる恐れもあるため
先程提示した案のように
できるだけ実施率を高めるための工夫が必要となります。
宅配ボックスのトラブル
ネット通販の急速な普及や新型コロナウイルスをきっかけとして
マンションにおける宅配ボックスの需要はかなり増えました。
弊社の管理マンションでも、荷物の再配達を減らす目的や
置き配による廊下での私物放置の問題を懸念して
新たに宅配ボックスを設置するところがいくつかあり
設置工事の見積取得や設置場所を検討し、理事会に提案したことがあります。
宅配ボックスを設置したことに伴い居住者の利便性は向上しましたが
それに伴い宅配ボックスを巡る様々なトラブルも増えたのも事実です。
例えば、暗証番号が書かれた配達票がポストに入っていたが
暗証番号を入力しても開かないですとか
宅配ボックスの空きが無く利用できないといったご相談が増えました。
暗証番号の違いは居住者から宅配業者に問い合わせても
「間違いなくその番号で入れました」との回答しかなく
結局水掛け論で終わってしまうようです。
最終的に弊社などの管理会社がマスターキーで開錠しに行きますが
試しに書かれた暗証番号を入力してみてもやはり開かないので
間違った番号で施錠してしまった可能性が高いです。
宅配ボックスの空きの問題は、利用者増によるものもありますが
配達票の入れ忘れにより長期間入庫したままの荷物があったり
私物が入っていたりといったことも原因の一つです。
なかには、悪質な宅配業者が入庫場所を確保しているのか
空のまま施錠されていることも度々あります。
最近の宅配ボックスは、そういった暗証番号の違いによるトラブルや
悪戯等に対策する為の工夫が施されています。
居住者には予めお部屋ごとの暗証番号が与えられており
取り出す際は部屋番号と暗証番号を入力して取り出すので
暗証番号による間違いが起きません。
また、宅配業者が荷物を入庫する時は
部屋番号を登録しなければ入庫出来なく
且つ液晶ディスプレイに入庫された荷物の部屋番号が表示されますので
悪戯をされづらいです。
ご自身のマンションで宅配ボックスをリニューアルしたり新たに設置される際は
上記のような機種を選択されてると更に利便性は向上されますので
検討されてはいかがでしょうか。
出来ればほしい防犯カメラ
昨今、空き巣や強盗事件の報道が増えており
ご自身が狙われないか心配されている高齢者や単身者の方も多いと思います。
報道を見る限り、主に閑静な戸建て住宅に被害が多いようですが
マンションだから安心かと言うと、そうとも言い切れないようです。
警視庁のホームページをみますと
令和5年における侵入窃盗は4万4,228件も発生しており
前年比+20.9%と急増しているようです。
発生場所の割合としては、戸建て住宅が30.5%と最も多いですが
マンション等の共同住宅も11.1%と決して低くない割合です。
マンションは、人が多いので狙われづらいと思われがちですが
隣接する部屋のベランダから容易に侵入することができる点や
不特定多数の人が出入りするため逆に不審者を見分けにくいことがリスクとなります。
実際、弊社の管理マンションでも
大規模修繕工事の足場を利用して、高層階のベランダに何者かが侵入し
窓が割られる事件が発生したこともありました。
防犯カメラの設置には、主にレンタル、リース、買取の3つの方法があり
いずれもメリットやデメリットがあります。
レンタルは保守契約も含まれており
契約満了後には現在の機器を引き上げ、新たな機器に交換の上再契約となりますので
結果的に維持管理費用は高くなります。
リース契約には、契約満了後に
格安の料金で再リース(機器はそのまま)出来る業者もあります。
買取は機器費用と設置費用を一括で支払うので
設置後は修理費用以外掛かりません。
最近は、物価上昇により管理費会計が厳しい管理組合も多いので
なるべく費用の掛からないリース契約や買取が選ばれる傾向にあります。
また、カメラの設置場所に関していえば
一番多いのは人の出入りが判る「オートロック等の出入口」付近
次いで「エレベーターかご内」
不法投棄が度々あるマンションでは「ゴミ置き場」も多いです。
弊社のような管理会社としては
防犯カメラはマンションの維持管理のために必ずしも必要なものではなく
防犯性の向上等の付加価値の点が大きい為
積極的に設置の提案がしづらいものではあります。
ただ、居住者の方から設置のご要望があれば
比較的管理組合にご提案すしやすくなりますので
設置を望む場合、まずは管理会社や理事会に相談してみましょう。
必ずおこなう法定点検
マンションにおいて、建物・設備の点検は
安全安心に暮らしていくために重要なことです。
マンションの点検は
大きく分けると法定点検と任意点検の2種類があります。
法定点検とは
マンションの建物・設備に対して法律で実施を義務づけられたものであり
必ず行わなければなりません。
逆に任意点検とは
必ずしも実施しなければならないものではありませんが
より快適に、より安全に
マンションで生活するために実施する点検となります。
例をあげますと
機械式駐車場の保守点検、自動ドアの保守点検、宅配ボックスの定期点検などです。
法定点検はその内容によって関係する法律が変わってきます。
主な法定点検は以下のとおりです。※実施頻度は地域により異なる場合があります。
①特定建築物定期調査(建築基準法)・・・マンションの敷地や建物の状況を調査し、地盤に問題がないか、建物の構造強度に問題はないかなど、その建物の全体的な調査を行う。3年に1回の法定点検。
②建築設備等定期検査(建築基準法)・・・換気設備、排煙設備、非常用照明設備、地域によっては給排水設備といった設備についての検査を行う。1年に1回の法定点検。
③防火設備定期検査(建築基準法)・・・防火扉や防火シャッターなどの防火設備について検査を行う。1年に1回の法定点検。
④エレベーター定期検査(建築基準法)・・・エレベーター及びエスカレーターの機能全般を検査する。1年に1回の法定点検。
⑤消防用設備点検(消防法)・・・各種消防用設備の点検を行う。「機器点検」は、消防用設備の配置や状態の外観点検や動作確認を行い、「総合点検」は機器点検の内容に加え、電源や配線のチェックなど、より詳細な点検を行う。機器点検は半年に1回、総合点検は1年に1回。
⑥防火対象物点検(消防法)・・・建物に防火管理者が選任されているか、避難訓練を実施しているか、消防設備が正しく設置されているかなど、適切に防火管理されているかの点検を行う。1年に1回の法定点検。
⑦簡易専用水道検査(水道法)・・・水質や給水設備の検査。貯水槽の有効容量の合計が10㎥を超える場合に検査が必要。1年に1回の法定点検。槽内の清掃も法令により必須。
⑧自家用電気工作物定期点検(電気事業法)・・・600Vを超える高圧受電設備
の月次点検と年次点検。通常は電力
会社が行うが、高圧受電設備が設置されているマンションは、管理組合が点検を行う。月次点検は1か月に1回 、年次点検は1年に1回。
上記のとおり法定点検は沢山ありますが
マンションの規模や備わっている設備によって実施しなくてはならない点検が変わってきます。
小さいマンションですと
消防用設備点検のみ行えばよいところもあります。
但し、いずれの法定点検も実施・報告を怠ると罰則規定があり
なかには100万円の罰金が科せられるものもあります。
ご自身のマンションではどの法定点検を実施する必要があるか
すべてきっちり行っているか
今一度確認しましょう。
確認の上、未実施の点検がありましたら
管理会社や専門業者に依頼し、必ず実施しましょう。