マンションお役立ち情報

個人賠償責任保険について

2024年4月16日 / カテゴリ:トラブル, マンションの老朽化, マンション総合保険, 用語集

マンションのオーナーとなった際に

ほとんどの方が火災保険の加入を検討されるかと思いますが

火災保険と併せて付保しておきたい保険が

「個人賠償責任保険」です。

 

「個人賠償責任保険」とは

自動車事故以外の日常生活の事故により

他人にケガをさせたり他人のモノを壊してしまい

法律上の損害賠償責任を負った場合に補償が受けられるものですが

この保険、マンションにはつきものである漏水事故にも対応しています。

 

マンションで漏水事故が発生した場合

被害に遭われた下階のお部屋を原状回復する必要がありますが

この費用は漏水発生元である上階オーナー(または居住者)が

全額負担しなければなりません。

その際、「個人賠償責任保険」を付保していれば

この費用の一部または全額が補償の対象となり

上階オーナーの負担軽減が見込めます。

 

下階の原状回復費用は被害の状況によってまちまちですが

なかにはかなり高額な請求となるケースもあります。

例として、私が直近でご対応させていただいた

漏水事故3件の下階の原状回復費用をあげますと

 

・Aマンション 663,300円(天井ボード交換、クロス貼替、フローリング貼替)

・Bマンション 316,250円(天井ボード交換、クロス貼替、照明器具交換)

・Cマンション 1,370,600円(天井・壁ボード交換、クロス貼替、フローリング貼替)

 ※いずれも税込み

 

個人でお支払いするにはかなりの負担ではないでしょうか。

 

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管理組合でも共用部分で付保している

「マンション総合保険」の特約としてこの保険が付いていることがあり

その場合、マンション内の漏水事故であれば

どのお部屋でも保険申請が可能ですが

近年の保険料値上げにより

この保険を付保しない管理組合も増えてきています。

ご自身のマンションでこの保険に加入しているか

一度ご確認をお勧めします。

 

もし管理組合でこの保険を付保していない場合は

ご自身の火災保険に「個人賠償責任特約」が

付保されているか確認してみてください。

(保険会社によっては「日常生活賠償責任特約」だったりと名称は様々です)

火災保険以外でも

例えば自動車(じどうしゃ)保険に付いているケースもあります。

自転車(じてんしゃ)保険でしたら

それだけで「個人賠償責任保険」と同じ補償が受けられますので

新たに付保する必要はありません。

いずれの保険にもない場合は付保を検討してみてください。

月額にすると数百円程度の負担で付保出来るところがほとんどですので

もしもの備えとしては高額ではないと思います。

 

漏水事故はいつ発生するかわかりません。

突然高額な費用を請求をされる前に、備えておきましょう。

組合員の相続人がいない場合、滞納となる管理費等はどうする?

2023年8月28日 / カテゴリ:トラブル

組合員(区分所有者)が亡くなったとき、通常はご家族の方が該当する部屋を相続し、

管理費や修繕積立金等の支払いを引き継ぎます。

しかし、稀にあるのが、相続人がいないというケースです。

法定相続人がそもそも存在しない場合はもとより、

存在する法定相続人がすべて相続放棄をしてしまうという場合も当てはまります。

問題なのは相続人がいないと、管理費等の納付が止まってしまうことです。

実際の事例ですが、亡くなった組合員は離婚し配偶者がおらず、

同居していた息子さんも相続を放棄されました。

管理組合では管理費等の請求先を探すため、弁護士に依頼し、

他のお子様方とも交渉して頂きましたが、

全員相続を放棄されました。ご両親は他界されているため、さらに弁護士を通じて、

ご本人の兄弟姉妹の方々もすべて探し当て、交渉していただきましたが、

やはり放棄されてしまいました。

このような場合、管理組合が取り得る手段は、相続財産清算人の選任の申し立てです。

管理組合にて家庭裁判所に選任の申し立てを行います。

これによって選任される相続財産清算人が、遺産の管理・処分を行いますので、

その際に管理組合が届け出た未納の管理費等が回収できます。

手続きの大まかな流れは以下の通りです。

 

1)相続財産清算人の選任と相続人捜索の公告

家庭裁判所は、相続財産清算人の選任をしたこと、及び、

当該被相続人の相続人がいる場合には申し出るよう公告をします。

相続人捜索の公告は、6か月以上の期間を定めなければならず、

この期間内に相続人が申し出た場合には、

遺産はその相続人に承継されることになるので、

相続財産清算の手続は終了することになります。

 

2)債権申出の公告

家庭裁判所は、上記公告に加え、当該被相続人に対する債権者や受遺者がいる場合には

届け出るよう公告します。

ここで管理組合も債権者として未納となっている管理費等の額を届け出ます。

この届出については2か月以上の期間が定められます。

期間満了後、届け出られた債権者と受遺者に対して、遺産から弁済がなされます。

この弁済により遺産がすべてなくなった場合は、相続財産清算手続は終了します。

 

3)相続人不存在の確定

相続人捜索の公告期間が満了し、その間に相続人が申し出なかった場合、

相続人不存在が確定します。確定までの期間は最短で6カ月です。

 

このような申し立てを行うに関しては、当然費用がかかります。

手続きを委託する弁護士への報酬や実費、裁判所には予納金を事前に支払わねばなりません。

従ってこの申し立てを行うにあたっては、要する費用や期間にも鑑みて、

管理規約で滞納管理費等の回収にかかる法的措置が、

理事会の決議で可能とされている場合でも、

念のため、予算の確保も含めて総会での決議を得ておくことが望ましいと思われます。

ちなみに、相続人がいないと、たとえ該当物件に金融機関の抵当権が設定されていても、

金融機関は競売の申し立てができません。

競売申し立てが可能であれば、区分所有法の定めに基づき、

管理組合は競落人に管理費等の未収分を請求し回収できますが、

この方法は使えないことになります。

金融機関としても管理組合と同様に、相続財産清算人選任の申し立てを行わなければ、

抵当権を実行しての債権回収は不可能なのです。

以上の事例にみるように、相続人不在に関わるトラブルは管理組合にとって、

極めて厄介な事案だと言えます。

弁護士や管理会社とも十分に連携を図りつつ、滞納管理費等の回収に至るまで、

粘り強い取り組みが必要でしょう。

 

給水トラブルの対処法

2023年3月27日 / カテゴリ:トラブル

「蛇口から水が出なくなった」

生活上のトラブルで弊社にもたまにお問い合わせがあります。

断水の原因には主に次のケースがあげられますので

いざという時の為に知っておくと安心です。

 

パイプスペースの給水バルブが閉まっている

パイプスペースとは給排水管が配管されているスペースのことで

そこから各お部屋に分岐されています。

マンションでは2部屋分の給排水管を1箇所にまとめているパイプスペースが多くありますので

例えば、お隣の部屋がリフォームをしていたり、引っ越しをされる際に

誤って別のお部屋の給水バルブを閉めてしまい断水することがあります。

この場合、給水バルブを開けることで断水は改善されます。

 

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給水設備の工事や点検等をしている

マンションには貯水槽や給水ポンプ等、様々な共用の給水設備があります。

※どのような設備があるかはマンションによって異なります。

これらは定期的にメンテナンスをする必要がありますが

その際に断水が発生することがあります。

例えば貯水槽を清掃する時は中のお水を一度全て抜いて空にしますので

清掃中は断水となります。

大抵の場合、事前に断水のお知らせが業者から通知されると思いますので

マンションの掲示板やポストはマメに確認しておきましょう。

 

給水設備にトラブルが発生している

マンションの給水設備には給水ポンプ等の機械がありますので

機械トラブル等で断水が発生することがあります。

自分以外のお部屋でも断水している場合はその可能性が高いです。

この場合個人で復旧することは難しいので

管理会社や給水設備業者に依頼して対応してもらいましょう。

 

勿論上記以外の理由で断水が発生することもあります。

特に近年自然災害が原因で長期間断水している報道などもみかけますので

日頃からの備えも考えていきたいものです。

 

水道管の凍結予防

2023年1月26日 / カテゴリ:トラブル, マンションの老朽化

寒さが厳しい季節になると多いトラブルが水道管の凍結です。

弊社で管理させていただいている埼玉のマンションでも

早朝に凍結が発生することがありますが

そのままの状態で放置してしまうと、まれに水道管が破裂してしまうことがあります。

破裂してしまうと水道業者さんに修理を依頼しなければなりませんので

そうならないために予め凍結を防ぐ対策が重要となってきます。

 

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凍結の予防

水道管や蛇口に、布などを巻き付けて熱が逃げないようにします。

メーターボックスの中も凍りやすいので、布を詰めたりして忘れずに保温してください。

 

凍結してしまったら

布などを巻き付けた部分にぬるま湯をゆっくりとかけてください。

この時熱湯を使用するのは厳禁です。水道管が破裂する恐れがあります。

 

水道管が破裂してしまったら

破裂箇所から水が噴き出してしまいますので、まずは水道管の元栓を閉めてください。

元栓は一般的に水道メーターの隣にあります。

トイレも含め、室内の水が一切使えなくなりますのでご注意ください。

その後、水道業者さんや水道局に修理を依頼してください。

 

水道管が破裂するような気温の場合、

近隣の地域で同様に破裂トラブルが多発している可能性があり、

水道業者さんが手いっぱいで修理が遅れてしまうことがあります。

そうならないよう水道管を凍結させない予防が重要です。

マンションですと共用の散水栓以外の水道管はパイプスペース内で保温ラッキングされていることがほとんどですが

経年劣化でラッキングが破れて水道管が一部露出していると

凍結の原因となりますのでご注意ください。

漏水に対する保険の備えを!

2022年9月28日 / カテゴリ:トラブル, マンションの老朽化, マンション総合保険, マンション自主管理

 

 

30年以上の高築年数のマンションにお住いの皆様、専有部分(自室)に関わる火災保険

(個人加入)に必要な補償で、外せない補償が二つあります。

 

 

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高築年数のマンションで、多発するのは「水漏れ」事故です。

 

集合住宅ではいつ起きてもおかしくない事故であり、上階の方が洗濯機のホースを

外してしまった、湯船に水を入れ続けてしまった等のヒューマンエラーに起因する

場合もありますが、専有部分の劣化した配管から水が漏れてしまった等の、

設備の経年劣化による漏水は、建物の高齢化と共に発生が増えてきます。

 

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必要になる特約補償は二つです。

 

1. 水濡れ損害補償(被害を受けることを想定して契約しておく保険)上階から

  漏れてきた水による被害を、下階の方ご自身の保険で補償してもらいます。

 

2. 個人賠償責任補償(加害者となることを想定して契約しておく保険)上階で

  漏水の原因を生じさせた方は、下階の方の被害に対する賠償責任が生じます。

  その時上階の方が「個人賠償責任保険」を契約していれば、保険で被害が

  補償されます。

 

ただし被害が全額補償されるとは限りません。

保険で補償範囲がカバーされない場合は、加害者となった方が不足分を

自己負担で補填する場合もあり得ます。

 

 

マンションの配管の区分について

 

マンションの配管には給水管と排水管がありますが、 「共用部分」の配管と、

「専有部分」の配管に分かれます。

共用部分の配管が原因の水漏れ被害は、管理組合が契約するマンション総合保険に、

建物管理賠償責任(施設賠償責任)補償特約が付されていれば、保険で被害が補償されます。

 

 

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給水管の場合、各戸メーターから下流の管が専有部分の扱いになります。

専有部分の給水管に起因する下階への漏水被害は、区分所有者が賠償責任を

負います。

基本的に、床下にある配管は、区分所有者の所有する専有部分の配管です。

ご自身の部屋の床下の配管から水が漏れて下階に損害を与えた場合は、

補償の責任を負うこととなります。

実際のところ、高経年マンションでは、専有部分の劣化した配管からの

漏水事故が、多くを占めていますのでご注意ください。

 

 

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以上漏水事故の発生に備えて、万がーの時に役に立つ保険の効用をご説明しました。

漏水事故は、集合住宅に居住する限り、どなたでも遭遇する恐れがあります。

特に加害者になった場合を想定して、最低限個人賠償責任補償には加入して

おくべきでしょう。

未加入の状態は、自賠責保険に入っていないクルマに乗っているのと

同様である位の認識が妥当だと思います。

 

 

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