マンションお役立ち情報

管理組合としての個人情報保護

2024年3月15日 / カテゴリ:マンション管理

管理会社に業務委託しているマンションでは

一般的にマンションの居住者の個人情報は

「個人情報保護法」に基づいて管理会社が管理しています。

しかし、自主管理のマンションだったり

管理会社に委託していても災害時に備えて居住者名簿を理事会が保有する等

管理組合が管理することもあるでしょう。

この場合には、個人情報やプライバシーの保護を厳守して

第三者に情報が流出しないよう取り扱いに十分注意したいものです。

 

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「個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)」は

個人の権利利益を保護することを目的として定められた法律で

個人を識別できる情報を多く取得する立場にある事業者を管理するための法律です。

2017年5月の法改正により

「取り扱う個人情報の数が5000人以下である事業者を法規制の対象外」

としていた制度が廃止され

マンションの管理組合も例外なく個人情報保護法の対象となりました。

管理組合が扱う個人情報には、一般的に

居住者の「氏名」「住所」「連絡先」等が記載された居住者名簿や

滞納者の情報等がありますので

理事会で保有する際には第三者に情報が漏れないよう注意してください。

 

また、プライバシー保護の観点でいえば

理事会活動のなかで、理事はマンションの居住者の職業や

交友関係などを知る機会があると思います。

居住者のプライベートな情報を議事録に記載して

それを全戸に配布したり、掲示したりすることは

個人のプライバシーを侵害するおそれがありますのでやめましょう。

理事会の業務は、あくまでもマンション共用部分の管理を目的としたものであり

居住者のプライベートについては基本関わるべきことではありません。

しかしながら、理事会の業務の中で

自然と知りえる情報もあると思います。

「個人情報保護法」の遵守は当然のことですが

居住者のプライバシーに関する事柄についても

その取扱については十分に配慮をおこなうことが重要です。

会議の議事録について

2024年2月16日 / カテゴリ:総会・理事会

管理組合の会議の議事録には

決議の結果や参加者から出された意見などが記録されており

現在や過去のマンションの状況を知る上での大事なツールとなります。

マンションで行われる会議には、主に総会と理事会がありますが

組合員全体を出席対象とした総会については

区分所有法第42条第1項の規定により、議事録の作成が義務付けられています。

 

総会の議事録は、原則として議長を務める理事長が作成しますが

選任された理事などが議事録の作成をおこなう場合もあります。

但し、管理会社に管理を委託している場合

管理会社の担当者(フロントマン)が理事会に同席し

議事録の素案を作成していることが多いのが実状です。

議事録の作成には手間と時間がかかるため

管理会社に作成してもらうのは結構なことですが

作成者はあくまでも議長(理事長)であるため

議長は管理会社の作成した素案の内容をよく確認のうえで

署名、押印することが大切です。

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議事録の書き方に決まりはなく

議事の内容をすべて記載する必要はありませんが

日時・出席者数・議案・決議結果などの要点を

正確に記載する必要はあります。

また、そのマンションごとにある程度書式を決めて作成したほうが

読む側(組合員)はより読みやすくなります。

 

議事録を全戸に配付するかどうかは

管理規約等に定められている場合のほか

各管理組合の慣例等により異なります。

弊社でも以前は議事録のコピーを全戸に配布しておりましたが

ペーパーレス化の観点から、紙での配布をなるべく控え

管理組合専用のポータルサイト上で議事録を確認頂くよう努めております。

 

近年は、時間がかかる、家の用事を優先したい等の理由で

総会の出席を委任する人が増えているように思えます。

いくら時間をかけて議論をかさねても

組合員に結果を伝え共有しなければトラブルにも繋がるため

議事録の作成・公開は大切です。

できる限り多くの組合員の目に留まる方法で

議事録を公開することが望ましいでしょう。

エレベーター点検について

2024年1月27日 / カテゴリ:エレベーター, 点検

多くのマンションに設置されている「エレベーター」

快適に生活する上でなくてはならない設備ですが

精密な機器が沢山組み込まれているため

安心・安全に利用するために点検は欠かせません。

 

エレベーターは建築基準法12条3項の規定により

年に1回の法定点検が義務付けられています。

管理者(主に理事長)は基準に則って「定期検査」をおこない

検査結果を特定行政庁に報告する必要があります。

過去にエレベーターの誤作動によるいたましい事故も起きていますので

誰でも安心・安全に利用するために

管理者は必ず法定点検を実施しなければなりません。

但し、実際には年に1回義務付けられている法定点検だけではなく

1か月や3ヶ月に1回の頻度で点検業者に点検を依頼している管理組合がほとんどであり

それだけ安全面が重要視されています。

 

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エレベーター点検には

「POG契約」と「フルメンテナンス契約」の2種類の契約があります。

「POG 契約」とは、「パーツ・オイル・グリス」の略で

定期的な機器・装置の点検を行うことに加え

電球・ヒューズ・リード線などの消耗品の交換や、オイル・グリス等の補充のみを行い

劣化した部品の取替えや修理等の費用を含まない契約のことをいい

比較的安価です。

「フルメンテナンス契約」とは、上記「POG契約」の内容に加え

点検結果に基づき、劣化した部品の取替えや修理等も行う契約のことをいい

費用は比較的高額です。

「フルメンテナンス契約」は未来の部品交換費用を

毎月少しずつ支払っている感覚に近いです。

そのため、設置から期間が経過したエレベーターでは交換部品が増えてしまい

点検業者の利益が見込めないため、契約を断られることが多いです。

「POG契約」でも点検時に交換が必要と判断された部品に関しては

点検業者から後日交換の提案と見積が提出されますので、その点はご安心ください。

 

どちらの契約が良いということはありませんが

通常、点検費用は管理費会計、部品交換費用は修繕積立金会計で賄われていると思いますので

管理組合の懐事情をみて、契約を検討していきましょう。

大規模修繕工事とは

2023年12月25日 / カテゴリ:マンションの老朽化, 用語集

マンションを適切に維持管理していく上で重要な「大規模修繕工事」

理事会役員や修繕検討委員にならないと

どのような工事をおこなっているかなかなか分かりづらいと思います。

※修繕検討委員とは、大規模修繕に関する計画や決定事項などを

 専門に行う委員会のメンバーのことです。

 

国土交通省のガイドラインでは、大規模修繕工事は

「マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するために行う修繕工事や

必要に応じて建物及び設備の性能向上を図るために行う改修工事のうち

工事内容が大規模、工事費が高額、工事期間が長期間にわたるもの等をいう。」

と書かれており、大体12年~15年に一度行うのが望ましいとされています。

具体的には、屋上やバルコニーの防水工事

外壁の下地補修・タイルの貼り替え・塗装、鉄部の塗装

シーリングの打ち替え等行い

場合によっては給水管や排水管の更新を行う場合もあります。

但し、工事内容はあくまでも管理組合が決めることであるため

必ずしもこの内容で行うとは限りません。

例えば屋上防水工事は足場を必要としないため

防水の状態が良好であれば、実施時期を延期することもあります。

 

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大規模修繕工事を行うにあたり

理事会役員や修繕検討委員は次のようなことを行っています。

①建物の劣化状況を調べる

②劣化状況を基に、工事の内容を決める

③決めた工事内容で、(複数の)業者から見積りをとる

④見積りを基にどの業者に依頼するか決める

⑤工事内容、業者を決めたら総会に上程する

 ※上程とは、議案などを会議にかけることです

⑥総会にて可決承認後、業者と契約し、具体的な工事の日取りを決める

⑦工事中、追加で必要な工事が発生した場合、都度検討する

⑧工事が概ね終了したら、検査を行う

⑨検査終了後、業者から提出される工事完了報告書を確認し、工事終了

 

工事費用は戸あたり100万円が目安とされていましたが

築年数によりやらなければいけない工事が大きく変わってくるので

一概にはいえません。

また、最近は物価高騰のあおりを受け、工事金額が跳ね上がっているため

予想より見積が高額になることが多いです。

資金不足により工事が延期とならないように

管理組合は普段から修繕積立金を計画的に貯めていくことが重要です。

支払督促の注意点

2023年11月28日 / カテゴリ:マンション管理, 修繕積立金, 管理費

マンションを健全に維持管理していくためには

管理費や修繕積立金(以下「管理費等」)の資金はとても重要ですが

管理で頭を悩ます問題に管理費等の滞納があげられます。

管理費等はそれぞれのマンションで毎月決められた日に

決められた金額を入金いただくのが原則ですが

残念ながら入金が滞る方は一定数おられます。

滞納者のなかには数か月、数年単位で滞納する方もいるので

管理組合はマンション維持管理の資金を確保するために

滞納した管理費等を回収しなければなりません。

回収の方法としては督促状の送付や電話での督促等さまざまですが

なかには注意が必要な方法もあります。

 

以前、別の管理会社から弊社に管理を変更して頂いた管理組合の理事長から聞いた話ですが

以前の管理会社に滞納者への回収方法として「支払督促」を勧められたため

それに応じたところ、滞納者から支払えないとの異議申し立てがあり

そのまま自動的に通常訴訟へ発展、裁判所に行かなくてはならなくなり困った、

ということがあったそうです。23485419_m

 

「支払督促」とは、債権者からの申立てに基づいて

簡易裁判所の書記官が債務者に金銭の支払いを命じる制度です。

あまり費用をかけずに裁判所からの支払い命令を得ることができ

強制執行もできるようになりますが、

債務者から異議申し立てがあると、そのまま通常訴訟へ発展してしまうデメリットがあります。

そうなると弁護士を探す時間もあまりありませんので

代表者である理事長が裁判所へ行かなくてはならなくなります。

そうならないように、支払督促を行う場合は事前に弁護士に相談する等

異議申し立てに備えることが重要です。

 

ちなみに、滞納があるお部屋が売却された場合でも滞納は消滅せず

次の所有者(特定承継人)に引き継がれますが

管理費等は5年で時効を迎えてしまいますので

時効を迎える前に法的措置をおこない、時効を更新するよう心がけましょう。