心配なのは、マンションの老朽化ですか?居住者の高齢化ですか?
分譲マンションのストックは全国で613万戸(2014年末)といわれています。かつてマンションは全国で毎年20万戸のペースで新規供給が行われることもありましたが、現在は8~12万戸程度で推移しています。マンションの居住人口は、1世帯当たりの平均人員2.46(2010年国勢調査)をもとに算出すると1,510万人に達します。特に都市部においてはマンション住まいの人は多い。
613万戸のうち1981年6月以前に旧耐震基準の下で建設された旧耐震マンションは106万戸(全体の17%)、さらに古い耐震基準の下で1971年4月以前に建設された旧・旧耐震マンションは18万戸(全体の3%)です。
今後、マンションの老朽化は急速に進んでいき、築40年超のマンションは、10年後(2025年)には151万戸(2015年の2.9倍)、20年後(2035年)には296万戸(2014年の5.8倍)に達します。
マンションは時間の経過とともに、建物の老朽化に加えて、区分所有者の高齢化も進んでいきます。いわゆるマンションが直面する二つの老いです。総務省「住宅・土地統計調査」(2013年)によれば、住んでいる人が60歳以上のみのマンションの割合は、1970年以前の完成では52%、1971~80年の完成では48%に達します。また、国土交通省「マンション総合調査」によれば、1980年度には世帯主が60歳代以上の割合は8%に過ぎなかったのが、2013年度では50%に達しています。マンションの流動性が高く、住民の新陳代謝が進めば、高齢化の進展は食い止められるが、いったん購入したマンションは永住する場合が多く、区分所有者の高齢化が進展していくことは避けられません。
マンションを維持管理していくためには、管理費、修繕積立金をきちんと徴収していくことが必要です。それらを滞納する住戸があるマンションの割合は、古いマンションほど高くなっています。
建築年代が古いマンションや、小規模マンションほど長期修繕計画を作成していないマンションの割合が高くなっています。また、小規模マンションの、管理費の滞納は少ないものの、長期修繕計画を作成していない場合が多いとう問題点があります。
高齢化比率が50%以上の集落は限界集落と呼ばれます。マンションの場合も、二つの老いが進展し、空室化、賃貸化が著しくなり、マンションの維持管理や建て替えなどの終末期問題に取り組んでいくべき管理組合も機能不全状態になっていくのでしょうか。
資産価値向上のポイント長期修繕計画
資産価値の向上というと、誰もがすぐに流通価格の上昇を思い浮かべます。確かに、大規模修繕工事直後は中古価格が上がり、その上昇分は大規模修繕工事にかけた金額よりも高くなる例が多いようです。
しかし、現在の経済情勢では、そのまま上がり続けるということはほとんどありません。
むしろ、金銭では評価できない価値、すなわちそのマンションで生活する際の安心感や快適感をマンション全体の資産と捉え、それを向上させる取り組みが資産価値向上であると考えます。
1.長期修繕計画とは
マンションの主に共用部分について、いつごろ、何を、どのように、いくらぐらいで修繕するか、向こう25年から30年間にわたり計画したものを長期修繕計画と呼びます。
いつごろにあたる修繕周期や、何にあたる修繕項目は、立地環境や管理状況に左右され、細かくいえばマンションごとに異なるものですが、従来作成者によって考え方がバラバラで、不適切な内容の長期修繕計画が見受けられることがあったため、標準的な様式として平成20年に国土交通省が「長期修繕計画標準様式」を定め、現在はそれが基準とされています。
2.標準的な修繕項目と修繕周期について
準様式を使って実際に長期修繕計画を作る方法を示す「長期修繕計画作成ガイドライン」も同時期に策定されました。そこに記されている標準的な修繕項目および修繕周期は別表のとおりです。
3.修繕積立金の額の目安
平成20年度に行われたマンション総合調査(国土交通省)では、駐車場使用料等からの充当額を含む修繕積立金の平均は、月額戸当たり1万1877円となっています。一方、新築マンションの修繕積立金の当初設定額は、月額戸当たり平均7006円(平均95・4円/㎡・月)(平成21年首都圏新築マンション契約者動向調査(リクルート調べ))です。
必要な修繕積立金が十分に積み立てられず、長期修繕計画に定めた修繕工事を、計画的に実施するために、段階的に積立金を値上げ改訂せざるを得ない事情がうかがわれます。
新築マンションの購入予定者向けの資料ですが、平成23年4月に国土交通省から「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が発表されました。そこには、前項の長期修繕計画ガイドラインにおおむね沿って作成された事例を分析し、15階建て未満の専有床面積当たりの修繕積立金の額の目安の平均値が178円~218円/㎡・月と示されています。
200円/㎡・月程度を積み立てておかないと、いざ大規模修繕を実施しようとしても、手持ち資金が不足する事態を招く恐れが高いといえます。
4.長期修繕計画の使い方
どんなに精緻に作られた長期修繕計画であっても、それを実際に活用しなければ意味がありません。大規模修繕工事はいきなり始めることができず、1~2年前より様々な準備が必要です。大半のマンションでは管理組合役員(理事)の任期が1年で、準備から実施に移る際の情報の円滑な伝達が、必ずしも十分とはいえない例も見られます。
そんな時に、長期修繕計画を修繕の予定表として関係者全員が了解していれば、進め方の大筋で混乱する恐れがなくなります。また、大切な修繕積立金の資金繰りも、工事に伴う大きな金額の出入りを予測することにより、あらかじめ準備が可能となります。
5.長期修繕計画の注意点
ガイドラインでも触れられていますが、機械式駐車場の有無で必要となる修繕費が大きく変わります(機械式駐車場の修繕工事費が相対的に高い)。また、戸数が少ないマンションでは、残念ながら規模のメリットが生かせず、戸当たりの修繕費用が高めとなります。
反対に、超高層や大規模な団地型マンションでは、設置されている機器が普通のマン資産価値向上シリーズションよりも大型で複雑で、例えば非常用自家発電機や泡消火設備等は、高額の更新費用が掛かります。
お住まいのマンションの特性を考慮して、適切な長期修繕計画を立て、計画的な修繕を適切に実施してください。最後に、大規模修繕工事を実施すると、実際の見積(工事)金額がいわば貴重な生の情報として得られます。5年程度ごとの長期修繕計画の見直しには、是非それを採り入れて、現実との誤差が少ない長期修繕計画の作成が望まれます。
マンション暮らしのフォーシーズンから
会計担当役員さんの業務時間の負担を大幅に軽減
自分たちで、管理組合運営をしていて最も大変で面倒くさい業務の一つは、会計処理ではないですか?
毎月電卓を使ってノートに記録しているため、非効率で大変。
会計処理ソフトはあるが、会計処理ソフトの使い方を覚えるのが面倒で大変。
こんな悩みを解決するサービスが「会計達人」です。
会計達人に任せるメリット
1. 会計担当役員さんの業務負担を大幅に軽減
理事長と並び業務負担の割合が大きい会計担当役員さんの仕事量と時間を減らすことで、各役員の業務負担割合の差がなくなり、会計担当になった役員からの不公平感が軽減されます。
2.パソコンのスキルが必要なくなる
高齢者の多い管理組合ではパソコンでの会計処理は難しいと思っているが、会計達人を使うことで役員のパソコンスキルが必要なくなり、他の役員等に迷惑をかけることがなくなります。
3.透明性の高い管理組合運営には、月次報告書が必要
月次報告書を毎月確認することで、管理費の収支がクリアになり、透明性の高い管理組合運営に繋がります。
4.財務管理体制が向上し、管理費等の滞納管理が迅速に解決
月次報告書を正確に作成し、毎月チェックすることで、滞納者対策等に、いち早く対応することができます。
会計達人の基本的な内容は下記の通りです。
- 会計・出納処理
- 翌月末日までに月次決算を行い報告
- 貸借対照表、収支報告書、予算・実績対比表、個人別入金状況一覧表、滞納督促状の作成、期末決算書作成
会計達人を、ぜひ管理組合で考えてみてはいかがですか。
会計達人 http://www.refremk.com/kaikei/
ベランダでの喫煙は不法行為となるのか?
Xの真下に居住するYは、Yの居室ベランダで喫煙を継続、XやXの家族が手紙、電話、回覧等でベランダでの喫煙をやめるよう求めたが、Yはこれを無視し喫煙を継続した。
そのため喘息等の疾患のXが、体調を悪化させ、精神的肉体的苦痛を受けたとして不法行為による損害賠償請求をした。
【問題点】
Yがベランダで喫煙する行為は、Xに対する不法行為となるか。
喫煙は、個人の趣味であって本来個人の自由にゆだねられる行為であるものの、タバコの煙が喫煙者のみならず、その周辺で煙を吸い込む者の健康にも悪影響を及ぼす恐れのあること、一般にタバコの煙を嫌う人が多くいることは、いずれも公知の事実です。
マンションの専有部分やベランダ等であっても、マンションの居住者に害を与える程度によっては、制限すべき場合があり得る。
他の居住者に害を与えていることを知りながら、喫煙を継続し、何らこれを防止する措置を取らない場合は、喫煙が不法行為を構成することがあり得る。
マンションの使用細則がベランダでの喫煙を禁じていない場合であっても同様である。
Xの請求を一部認め、Yに対し損害賠償を命じた。
名古屋地方裁判所 平成24年12月13日判決
マンション収納方法 イロハとは
管理会社が管理組合から委託を受けて出納業務を行っていますが、一部の管理会社の管理費横領事件等により
管理組合の財産が損なわれる事態が発生しました。
よって、より毀損リスクの少ない、わかりやすい分別管理方法へ変更となったのです。
マンション管理業者は、「管理組合の財産を分別して管理しなければならない」と法律で決まっています。
その法律は、「マンション管理の適正化の推進に関する法律」と言い、略して「マンション適正化法」と呼んでいます。
「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則」も同時に定められています。
法律なので、難しい表現方法ですが、簡単に言うと
「区分所有者から徴収された管理費等を一時的な預貯金と修繕積立金の預金に分けて管理しましょう」と、
平成22年5月に改正されたということです。
管理費等の収納方法の流れは、
区分所有者の納入管理費等は → 一旦収納口座へ納入され、各種支払後 → 保管口座へ移し換え(保管口座は理事長名義)
預金通帳は、最低2口座となります。
収納口座に管理費と修繕積立金を一括して徴収し、毎月の光熱費や保守点検費・管理委託費等を差し引いた残りを保管口座へ
移し換えます。
これが、イロハの(イ)になります。
第87条第2項第1号 イ の方法
イロハの(ロ)は、
管理費と修繕積立金をはじめから分けて徴収します。
収納口座へ管理費を、保管口座へ修繕積立金を徴収し、毎月の光熱費や保守点検費・管理委託費等を差し引いた残りを保管口座へ
移し換えます。
イロハの(ハ)は、
管理費と修繕積立金を一括で徴収し、管理します。収納保管口座になり、管理組合の口座は1つしか持たないことになります。
安全措置として、徴収した管理費等を収納口座と保管口座に分け、翌月末日までに保管口座へ移し替えを原則としています。
また、一般会計と修繕積立金会計等、会計区分ごとの収支報告書等を、管理組合へ毎月定期的に書面で報告をしなければなりません。
これが、管理組合に対する管理会社の責任となります。