管理委託契約の締結とは
管理規約の改定
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管理規約の改定は総会の議案事項となります。
組合員総数および議決権総数の各4分の3以上の賛成が必要となり、管理規約を
変更する場合、総会での十分な議論が必要ですが、事前にアンケート調査や
説明会などを実施し、変更案の趣旨について理解を得るとともに、組合員の
意見を聞き議案に反映させておくことが重要になります。
管理規約を変更する場合には、必ず議事録を残し、周知徹底する必要があります。
役員の選出
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平成23年7月の標準管理規約の改正は、役員のなり手不足等の課題に対応する
ため、役員の資格要件の緩和を行うこと等を主な内容とするものでした。
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改正前:
「理事又は監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、
総会で選任する。」
改正後:
「理事又は監事は、組合員のうちから、総会で選任する。」
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管理委託契約の締結
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管理委託契約締結には総会で承認が必要です。
管理組合がマンションの管理をマンション管理業者に対して委託する際に、
管理組合とマンション管理業者との間で締結される管理委託契約に係る契約書を、
当該マンション管理業者が、マンションの管理の適正化の推進に関する法律
第73条第1項に規定された書面として当該管理組合の管理者等に対して交付する
場合の指針として、国土交通省により作成されたものです。
簡単に言うと、管理会社と契約をするかの総会決議事項のことです。
管理組合にとって、組合運営のパートナーとなる管理会社との管理委託契約の
締結は非常に重要なものですので、契約の締結時(または更新時)においては、
重要事項の説明を受け、管理会社が行う業務内容についてよく理解しておく
ことが大切です。
議事録の作成
議事録の作成
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標準管理規約第49条では、総会の議事については、議長は、議事録を作成
しなければならない。
とあるように総会が終わったら、議事録を作成します。
開催日時、区分所有者総数、総議決権数、議題・議案の要領、報告事項の概要、
重要な質疑応答、採決の結果、賛否の区分所有者数、議決権数を記載し議長並び
に議長が指名する2名の出席者が署名・押印をします。
総会に出席ができなかった組合員が議事録を読んで、報告の概要や質疑応答の
やり取りがわかるように詳しく作成すると、管理組合内のコミュニケーション
がスムーズになるでしょう。
議事録の閲覧
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理事長は、総会議事録を保管し、組合員や利害関係人から書面による閲覧の
請求があったときは、マンション管理組合の総会議事録を閲覧させなければ
なりません。
この場合、総会議事録閲覧について、相当の日時、場所等を指定することが
できます。
また、議事録の保管場所を所定の掲示場所に掲示する必要があり、通常は管理
事務所の見えやすい位置に掲示している場合が多いようです。
※利害関係人とは、総会決議の拘束を当然に受ける賃借人等の専有部分の
占有者のほか、売買等によって区分所有権を取得しようとする者を言います。
議事録の保管期限
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区分所有法では、規約や総会議事録の保管を定めているものの、これらを
含む組合の保管期間については定めを置いてありません。
議事録の性質によって、永久に保管すべきものと、相当期間保管後に廃棄して
よいものとがあります。
性質上廃棄して差し支えない議事録であっても、規約等で保管期間の定めが
ない場合は、10年程度保管することが望まれます。
新たに、規約原本の作成をしないときなどは、いつ変更したのか根拠が不明に
なるため、規約原本の作成までは、必ず保管しておく必要があります。
議案の説明と議決権
議案の説明
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総会の2週間前 (標準管理規約第43条) までに発してある招集通知に議案書を
添付してあるので、総会の説明がスムーズにできます。
また、管理会社が説明を行う場合もあります。
▼ 説明が終わると質疑応答です。
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【質問の注意点】
1.会議の目的以外の質問はできません
2.質問者は回答者を指名できません
3.区分所有者のプライバシーに関する質問はできません
4.過去の総会の決議事項に関する質問はできません
【回答の注意点】
1.答えなくてよい質問には議長の判断で回答を拒否できる
2.最も説明に適した回答を指名するのは議長である
3.質問者が納得しなくとも合理的な説明がなされれば回答は終了する
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議決権
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管理組合の採決方法は、多数決ですが、組合員数と議決権数の両方を数えなく
てはなりません。
議決権とは各区分所有者が持っている議決に当たっての権利のことで、議決権数
とはその数です。
したがって、組合員数と同じではないのです。
標準管理規約第47条では、普通決議は出席組合員の議決権の過半数で決すると
あります。
管理規約に別段の定めが無い限り、組合員が所有する専有部分の床面積の割合に
よることになります。
つまり、総会議決権総数はマンションの戸数分存在するということです。
議長の権限
議長の権限
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総会を進めるうえで、議長には総会の秩序を維持し、議事を整理し、
議事の進行を円滑に進めるための「議事整理権」という権限があります。
標準管理規約第42条に「総会の議長は、理事長が務める」とありますが、
議長が単独で判断できることと、できないことがあります。
▼ 議長が単独で判断できること
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1.総会の開会と閉会の宣言
2.質問者や答弁者の指名
3.発言時間の制限
4.議事・議題の審議の順序
5.質疑の打ち切り
6.発言の中止
7.議場の秩序を乱した者の退場
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などがあります。
▼ 議長が単独で判断できないこと
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1.議題・議案に関する修正動議
2.議長不信任の動議
3.総会の延期・続行の動議
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などがあります。
総会は区分所有者が集まって決議を行う合議体なので、議事運営のすべてを
議長の単独判断というわけではないのです。賛否を得たうえで行わなければ
ならない事項もあるのです。
進める順序
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総会は、議長の開会宣言で始まり、閉会宣言で終わります。
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1.開会のことば
2.理事長のあいさつ
3.議長選出
4.議事録署名人選出
5.議案審議
・第1号議案 活動報告及び収支決算報告
・第2号議案 役員承認
・第3号議案 事業計画の承認
・第4号議案 予算承認
・第5号議案 管理規約の修正と改正
・第6号議案 管理委託契約締結の承認
・その他
6.閉会のことば
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標準的な総会の流れとなります。
招集手続きと議決権
招集手続き
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標準管理規約第43条で「総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の
2週間前(会議の目的が建替え決議であるときは2か月前)までに、会議の
日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。」と
定めてあります。
招集通知には、総会の日時、場所、議題を記載し、さらに共用部分の変更、
規約の変更、特別決議などの議案内容(議案書)の通知となり区分所有者全員に
発送します。
議題を事前に知ることにより、論議を深めることができますし、出席できない方も
通知された事項について賛否を決定することができます。
議決権
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標準管理規約第47条では、総会の成立要件を「議決権総数の半数以上を
有する組合員が出席しなければならない。」とし、また、総会の普通決議は、
「出席組合員の議決権の過半数で決する。」と定めてあります。
「会議に参加し、議決に加わる権利」を意味します。
議決権は管理規約によって定めら、原則は、共用部分の共有持分の割合と
なります。
専有部分の床面積の広さによって、その部屋を所有する組合員の一票の権利が
決まります。
出席組合員が、総会成立要件ぎりぎりであった場合、過半数、代理人及び書面に
よる議決権行使も含めての同意が得られれば、決議されることとなります。
議事録には、区分所有者総数、総議決権数、賛否の区分所有者数、議決権数を
記載する必要があります。


