管理組合は総会の特別多数決議で「管理組合法人」となることができます
管理組合は総会の特別多数決議で「管理組合法人」となることができます
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法人化は、組織が外部に対しても明確になり、責任も生じるため、管理組合を
組織としてきちんと運営しなければならないという意識付けには意味があります。
しかし、役員が替わっても登記変更を怠ったりすると、かえって問題になる
こともあり得ます。
(代表理事(理事長1人、複数理事どちらも可)を登記しなければならない。)
例えば不動産を理事長個人の名義で購入した場合、個人の財産との区別が困難
となります。
区分所有者全員の共有名義で取引することは可能ですが、大規模マンションでは
登記の手続きが煩雑になり現実的でありません。
そこで、管理組合という「区分所有者の集まり」を、「一つの法人組織」にすることで、
不動産取引の当事者となることができます。
つまり、「○○マンション管理組合法人」として、不動産取引を行うことができるのです。
また、管理事務室などにある電話の加入権も同様に、法人格のない管理組合名義での
登記ができませんが、管理会社名義で加入してもらえば良いので大きな問題ではありません。
建物が消滅したときに、管理組合も消滅する
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建替え決議がされ、建物が壊されると、管理組合が無くなり、管理組合の
最後の仕事は、残った修繕積立金等の清算となるのです。
(標準管理規約第65条共有持分割に応じて帰属するものとする。)
管理組合はどんな組織?
管理組合はどんな組織?
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管理組合は、1棟の建物に区分所有者関係が生じたときに成立します。
区分所有者は、区分所有者になった瞬間から管理組合の組合員となり、
1棟の建物に1管理組合となっています。
<区分所有法第三条>
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区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための
団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、
及び管理者を置くことができる。
(規約が無くとも、役員が選出されていなくとも、法的には管理組合が存在する。)
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組合員になれるのはマンションを所有する者だけであり、区分所有者の家族
(同居人)や、所有者から住戸を借りて住んでいる賃借人(占有者)は組合員に
なることはできません。
管理組合の組織を、株式会社に例えるとわかりやすくなります。
管理組合の最高意思決定機関である『総会』は、株式会社の『株主総会』となります。
管理組合で日常の案件を処理する『理事会』は、株式会社の『取締役会』となり、
『理事長、理事、監事』は、株式会社の『代表取締役、取締役、監査役』となります。
そして、『区分所有者』はもちろん『株主』です。
管理組合は「権力能力無き社団」
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○○管理組合の名前で通帳を持ったり、土地を取得することはできません。
管理組合の通帳名義は「理事長個人」となります。
現在は、借り入れも、滞納訴訟等も「管理組合名」で可能なので、上記以外に、
法人でないことで、あまり不都合な点はありません。
駐車場・給排水管でのトラブル対処法
駐車場でのトラブル時
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多くのマンションで駐車場不足が問題となっています。
近隣の月極駐車場を借りている人も、住戸から離れているために、マンションの
敷地内や隣接する道路に不法駐車する例も多くみられます。
駐車場不足を解決するには、新規に増設するか近隣の民間駐車場を借り上げる
ことが考えられます。
しかし、大規模な増設となると収容台数の大きな機械式駐車場を設置すること
となり、多額の費用がかかってしまいます。
また、自家用車を持たない区分所有者へ配慮することも求められます。
駐車場は共用部分であり、基本的に各区分所有者が平等に利用することが
できるのです。
確保した駐車場を、そのまま恒久的に使用する権利が保障されているものでは
ありません。
そこで、利用希望者全員によって、定期的に抽選を行うことや、順番に利用
できるようにするなど、公平な対応策が求められるのです。
給排水管でのトラブル時
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マンションでは、築25年以降より階下へ水漏れが発生する恐れが出てきます。
給水管の共用部と専有部は一般的に給水管の内側が塩化ビニルで覆われている
塩化ビニルライニング鋼管製が多いようです。
直管部はビニルライニングされているので腐食しませんが、平成7年位以前の
マンションでは継手部分の一部分はコーティングされていなく、水に接して
いる構造になっていますので継ぎ手の接合部が、サビで年々、腐食が酷くなり、
しまいには穴が開いてしまうのです。
そのままにしておくと、築25年以降より「サビによる赤水」が発生し、その後
「階下への水漏れ」「水の出が悪い」という現象が現れ始めます。
給排水管のサビによる腐食で給排水管の継ぎ手部分等より水漏れが起こらない
ようにするための給排水管の修繕工事方法として、更生工事(延命工事)と
更新工事(交換工事)があります。
延命工事としては「給排水管の研磨ライニング工事」で、根本的な解決法と
しては「給排水管の交換工事」となります。
この2通りが給排水管の維持管理方法として代表的なもので、どちらにしましても、
高額な工事となります。
つきましては、築15年位の時点で、具体的維持管理方法について検討し、総会等で
管理会社のもと説明に伴い、少しでも多くの組合員の方に理解して頂き、話し
あっておくことが大切となっていくのです。
そこで、給水管および排水管の素材が何でできているかを確認し、サビによる
水漏れ防止等の対応工事がどのように計画されているのか、一度、長期修繕計画書を
確認しておく必要があります。
もし、長期修繕計画がなされていない場合や、長期修繕計画書を見ても分かり
にくいようでしたら、大事なことですから当社へお尋ねください。
騒音・ペット飼育でのトラブル対処法
騒音でのトラブル対処法
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騒音のトラブルの対処法としましては、誰がクレームを出しているのかを
加害者に言ってはいけません。
もし、それを知ってしまうとさらにトラブルは大きくなってしまうのです。
まずは、管理会社へご相談ください。
掲示板に張り紙をするとか、誰からの苦情だとは告げないでさりげなく注意を
するなどの、対応をいたします。
騒音の元となっている人に対して、間接的に「騒音が発生している」という
ことを伝えることも大切となります。
そして、生活音トラブルが起こらないように予防することも大切ではないでしょうか。
「コンクリート壁でも音は十分伝わるもの」
「ある程度の音は許容すること」
「普段から近隣住戸と交流を持っておけば生活音も気にならなくなること」
と、周知徹底するのも重要ではないでしょうか。
ペット飼育でのトラブル時
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ペット問題といっても各マンションで事情が異なり対応策もいろいろです。
決定的な解決方法があるわけでなく、各マンションの状況にあったベストな
解決方法をいろいろ模索しなければなりません。
個人の権利の制限や受忍限度の個人差という特有な問題もあります。
騒音でのトラブル時と同様に、まずは、管理会社へご相談ください。
法律や規約の知識・動物に対する正しい知識・公正で透明性のある経験豊富な
フロントマンの対応が解決策となりポイントとなるのです。
マンションとは、いろいろな人が居住空間を共用しながら生活する場所です。
動物が好きな人も嫌いな人も安心して一緒に暮らせる環境を作ることが望まれます。
また、厳格なルールのもとに飼育を認め、迷惑をかけずに生活できる環境を
作り上げることが大切です。
漏水トラブル
水道管の腐食を起因とした漏水トラブルです。
配管材料にはいくつかの種類がありますが、昭和45年半ばまでは防錆(ぼうせい)
のために内面を亜鉛めっきした「水道用亜鉛めっき鋼管」が多くのマンションで
採用されていました。
当時としては最適でしたが、亜鉛が溶出して鉄部が露出すると腐食が始まる
難点があり、こうした弱点が配管の寿命を縮めることとなったのです。
その結果、技術開発によって以後のマンションでは塩化ビニールやステンレスを
使用することで問題は鎮静化の方向に向かいましたが、当時に建てられた高経年
マンションでは赤水や漏水トラブルが多発するようになったのです。
なぜ、古いマンションでは配管からの漏水トラブルが絶えないのでしょうか?
そこには共同住宅ならではの理由が存在します。
まず1つ目が設計上の問題。
最近の分譲マンションは二重床・二重天井が主流になっていますが、30年以上も
前のマンションになると床下の配管は埋設されていることが珍しくなかったのです。
天井高を確保しようとコンクリートスラブの上に直接、カーペットやフローリング
を敷設したため、床下を通る配管は軽量(気泡)コンクリートに埋められて
しまっているのです。
いざ更新(取り換え)しようと思っても簡単には事が運ばず、コンクリートを
削るという大掛かりな工事になってしまうことが組合員の腰を重くしたのでした。
そこで、埋設せずにコンクリートスラブの下(=下階の天井裏)に排水管を
施工することで、維持管理に配慮したマンションが登場するようになったのです。
これによりメンテナンスがしやすくなると思われましたが、一転、予期せぬ
新たな問題が浮上することとなってしまったのです。
下階の天井裏を通る横引き配管(枝管)が「専有部分」なのか「共用部分」
なのか、2つ目の問題です。
スラブ下配管が専有部分だとすると、維持管理の責任主体は区分所有者本人に
なります。
各個人の裁量と費用負担において、おのおのが工事を行わなければなりません。
一方、共用部分だとすると責任主体は管理組合になるため、区分所有者全員に
よる費用負担で、管理組合が工事を計画・実施することになるわけです。
直接、目に触れる機会が少ないため、どうしても配管に対する関心は低くなって
しまうのが3つ目の問題です。
水道管の更新は、分譲マンションに住んでいて1回あるかないかといった頻度の
工事のため、その必要性を認知するにも時間が必要となるのです。
使用されている配管材料や劣化具合、マンションの規模や築年数によっても
工事内容は異なり、専門性の高さが追い討ちをかけて、さらに管理組合の足は
遠のきます。
さらに、必要な情報が得にくいことも一因となってしまいます。管理会社に
丸投げするのは不安だが、とはいえ、どこに相談したらいいのか分からない。
こうした情報の慢性的な不足が工事の遅れを助長してしまうのです。
管理規約に「専有部分である設備のうち、共用部分と構造上一体となった部分の
管理を共用部分の管理と一体として行なう必要があるときは、管理組合がこれを
行うことができる」等と盛り込んでおくと、管理組合主導で専有部分と共用部分の
一体工事が行えるようになるのではないでしょうか。
平成12年3月、最高裁から出された判決では下階の天井裏を通るスラブ下配管は
共用部分に当たると判示しています。
707号室の台所・洗面所・風呂・トイレから出る汚水については、同室の
床下コンクリートスラブを貫通して607号室の天井裏に配された枝管を通じて
本管(タテ管)に流れる構造になっている。
そのため、707号室から点検・修理を行うことは不可能であり、607号室から
その天井裏に入ってこれを実施するしか方法はない。
こうした事実関係のもとにおいては、その構造および設置場所に照らすと
本件排水管は専有部分に属しない建物の付属物に当たり、かつ、区分所有者全員の
共用部分に当たると解するのが相当である。と判断されました。